生態系サービス
人類は生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みによって支えられていますが、生物・生態系に由来するもので人類の利益になる機能のことを「生態系サービス」と呼びます。
1997年に雑誌『Nature』で発表された論文によると、その経済的価値は年平均33兆ドルと見積もられています。
ソーシャルグッド
「ソーシャルグッド」とは、社会に良いな影響を与えるような活動や製品、サービスの総称を指します。
ミレニアル世代やジェネーションZ世代を中心に、これまでの大量生産・大量消費型の資本主義には明るい未来はないと考え、サステナビリティー(持続可能性)を重視したソーシャルグッドな考え方や行動を選択する人が増えてきています。
ソーシャルビジネス
グラミン銀行を設立し、マイクロクレジットによる貧困撲滅の取り組み等に対する功績から2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのムハマド・ユヌス博士が、ノーベル平和賞の受賞式典で資本主義経済の構造に根本的な変化をもたらすことができる新しい概念として、はじめてソーシャルビジネスという言葉を使いました。
ユヌス博士による、グラミンのソーシャル・ビジネスの7つの原則は以下の通りです(原文のメモを見ると6つの原則となっていて、最後の7つ目が付け足されています)。
- ソーシャルビジネスの目的は、利益の最大化ではなく、貧困、教育、環境等の社会問題を解決すること。
- 経済的な持続可能性を実現すること。
- 投資家は投資額までは回収し、それを上回る配当は受けないこと。
- 投資の元本回収以降に生じた利益は、社員の福利厚生の充実やさらなるソーシャルビジネス、自社に再投資されること。
- ジェンダーと環境に配慮すること。
- 雇用する社員にとってよい労働環境を保つこと。
- 楽しみながら。
ダイベストメント
ダイベストメント(英語:divestment)は、投資(英語:Investment)の対義語で、既に投資している株・債券等の金融資産を引き揚げることを意味します。
投資判断に際し、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する考え方が広がっており、石油・石炭などのGHGを排出する事業資産は将来使用できなくなる可能性があると考え、化石燃料や石炭関連の事業への投融資から撤退する動きが始まっています。
また、そうした環境側面に加えて、健康面から社会に悪い影響を及ぼすタバコ産業から投資を引き揚げるなどのダイベストメントが進んでいます。
地域通貨
法定通貨(=お金)ではないものの、ある目的や地域のコミュニティー内などで、法定貨幣と同等の価値あるいは全く異なる価値があるものとして発行され使用される貨幣のことを指します。
経済学者の西部(にしべ) 氏によれば、地域通貨は以下のような特徴を持っています。
- 特定の地域内(市町村など)、あるいはコミュニティ(商店街、町内会、NPO)などの中においてのみ流通する。
- 市民ないし市民団体(商店街やNPOなど)により発行される。
- 無利子またはマイナス利子である。
- 人と人をつなぎ相互交流を深めるリングとしての役割を持つ。
- 価値観やある特定の関心事項を共有し、それを伝えていくメディアとしての側面を持つ。
- 原則的に法定通貨とは交換できない。
バイオ燃料
バイオ燃料とは生物体(バイオ)から作る燃料のことを意味しています。
2025年のカーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガス排出の主要因となっている化石燃料の代替として注目が高まっています。
日本国内では、2021年6月にユーグレナ社がバイオジェット燃料を導入したフライトを成功させたことがニュースになりました。
バイオプラスチック
「バイオプラスチック」(英語:bioplastic)とは、「バイオマスを原料としたプラスチック」と「生分解性を持つプラスチック」の総称です。
気候変動や海洋汚染対策として注目されており、石油を原料とするプラスチックから、バイオプラスチックに置き換えられていくことが期待されます。
パリ協定
2015年12月12日にパリで開催されたCOP21で196のUNFCCCの締約国(全196ヵ国)によって採択され、2016年11月4日に発効された、気候変動に関する国際条約です。
「産業革命以前のレベルと比較して、世界の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えることを目指す」ことが合意されました。
日本の温室効果ガス削減目標は2020年3月30日時点では「2030年度に2013年度比で26%削減する」というものでしたが、2021年4月22-23日に開催された、米国主導で40の国・地域の首脳らが参加した気候変動サミットで、菅総理大臣が「2030年度において2013年度比で46%の削減を目指す」と宣言しました。
BOP(ビー・オー・ピー)
Base Of the Pyramid(ベイス・オブ・ザ・ピラミッド)の略で、BOPまたはBoPと呼びます。
日本語に訳すと「ピラミッドの底辺」となりますが、世界の所得と人口の分布をピラミッドで表した時に、所得が最も低く、かつ多数を占めている層の人達を顧客やビジネスパートナーにするという文脈で、未開拓の市場を開拓するBOPビジネスという意味合いで使われています。
2007年に国際金融公社 (IFC) と世界資源研究所 (WRI) が、購買力平価で年間所得が3,000USドル未満の層をBOPと定義しました。この層に当てはまる人口は2007年当時で約40億人(世界人口の約72%)、市場規模5兆ドルと見積もられています。
以前はBottom Of the Pyramid(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)と呼ばれていましたが、最近ではBase Of the Pyramid(ベイス・オブ・ザ・ピラミッド)と呼ばれる方が主流となっています。言葉の変遷と同じように、「BOPバージョン1.0」では、貧困層を顧客化するといった考え方でしたが、「BOPバージョン2.0」では、相互価値の創造へと意味合いも変化してきています。
ファッション協定(THE FASHION PACT)
2019年8月にフランスのビアリッツで開かれたG7サミットで、欧米を中心とするファッション・テキスタイル企業32社(150ブランド)が署名した協定で、「気候変動(Climate)」「生物多様性(Biodiversity)」「海洋保護(Oceans)」の3つを柱に、共通の実践目標を掲げました。
2021年7月4日現在で71社が参加しており、世界のファッション産業全体のシェアの3分の1を占めるほどになっています。日本からは、2020年12月10日に日本企業として初めて加盟したアシックス(ASICS)1社のみとなっています。(2021年8月3日現在)