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カーボンニュートラルの定義 注目動向や認知度は?脱炭素やカーボンオフセットとの違い

カーボンニュートラルの定義 注目動向や認知度は?脱炭素やカーボンオフセットとの違い

2020年10月26日に、菅総理大臣が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言して以来、カーボンニュートラルという言葉を耳にすることが多くなりました。

カーボンニュートラルという言葉の定義

カーボンニュートラル(carbon neutral)という言葉はもともと環境化学の用語なので、明確な定義がありますが、政治家や官僚、企業経営者などが使う時には、定義が違っている場合があります。

環境化学では、ライフサイクルの中で炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態をカーボンニュートラルと定義しています。

例えば、植物を燃やして二酸化炭素を発生させたとしても、排出される二酸化炭素の中の炭素原子(カーボン)は、もとは大気中の炭素原子を植物が光合成によって取り込んだものであるから、大気中の二酸化炭素総量は変わらない(neutral)という概念です。

一方で、菅総理大臣が唱えるカーボンニュートラルは、国家全体の排出量に対し、排出量を削減する努力で吸収しきれない分を、カーボンオフセットなどを組み合わせて全体(ネット/正味)でプラスマイナスゼロにすると定義しています。

カーボンニュートラルの注目動向・認知度

注目動向

検索エンジンのGoogleで「カーボンニュートラル」という言葉が検索された回数の傾向を表したグラフを見ると、2007年に一度、小さな山があって多少注目された形跡があります。
google-trend2007年4月に、ノルウェーのイェンス・ストルテンベルク首相が、2050年までに国家レベルでは初となるカーボンニュートラル実現という政策目標を発表したことと、同年、Googleや香港上海銀行(HSBC) 、Dellなどのグローバル企業も次々と「カーボンニュートラル化宣言」を発表したことなどが影響しているものと思われます。

その後はほとんど検索されておらず、2020年の10月の菅総理大臣の所信表明演説を境に急激な増加傾向にあることが一目で分かります。

認知度

また、当サイトが2021年8月に全国の20〜60代の男女1000人を対象に実施した、「社会問題・ソーシャルグッドに関する意識・行動調査」の結果によると、「カーボンニュートラル」という言葉の認知度は58%となりました。認知レベルの内訳としては、「意味までよく知っている」が8%、「意味をある程度知っている」が20%、「名前だけ知っている(意味は知らない)」が29%となっています。

年代性別では、50代男性が78%と最も認知度が高くなっています。

カーボンニュートラル認知度

脱炭素との違いは?

菅総理大臣の所信表明演説にも登場しますが、カーボンニュートラルという言葉と一緒に使われることが多い言葉として「脱炭素」という言葉があります。

日本では、2007年度の環境白書・循環型社会白書において提唱されて以降、二酸化炭素の排出が少ない社会、という意味で「低炭素社会」という言葉が使われるようになりました。

そして、近年では、「低炭素社会」から、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目標とした「脱炭素社会」という言葉が使われるようになりました。

従って、「脱炭素」とは「カーボンニュートラル」と同意だと捉えて良いでしょう。

カーボンオフセットとの違いは?

カーボンニュートラルと似た言葉にカーボンオフセット(carbon offset)という言葉があります。直訳すると「カーボン(炭素)のオフセット(相殺)」となります。

環境省のカーボン・オフセット制度の定義によれば、

市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、『クレジット』を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせることをいいます。

と説明されています。

例えば、カーボンニュートラルLNG(CNL)は、採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国等における環境保全プロジェクトで創出されたCO2クレジットでカーボンオフセットするといった天然ガスが注目されています。

カーボンニュートラルは吸収量と排出量がプラスマイナスゼロの状態のことですが、それに対して、カーボンオフセットはカーボンニュートラルを達成するために排出量を取引する手段になります。

カーボンニュートラルの課題

カーボンニュートラルの達成に向けては多くの解決すべき課題が指摘されています。その一例を紹介します。

土地の不足

化石燃料を植物由来の燃料や原料に転換した場合、植物を栽培・保管するための広大な土地が必要になります。

カーボンフットプリントの面から、日本においては国土面積の約7倍にあたる269.7万haが更に必要であり、世界全体でも現存の耕作地・牧草地・森林の合計面積の1.2倍にあたる1.06ghaが更に必要になるため、土地が不足しているという問題があります。

また、太陽光エネルギーも同様で、太陽光パネルを敷設するために広大な面積を必要とします。

穀物価格の上昇

近年、植物由来のエネルギーとして、バイオエタノールの需要が高まっています。それによって、穀物の価格が高騰し、貧困層の飢餓の問題に悪影響を及ぼしたり、将来的な食糧不足との間でトレードオフの関係にあります。

生産・製造・輸送時の排出

カーボンニュートラルを達成するには、製造時や輸送時に再生可能エネルギーを使用するなど、ライフサイクル全体における対策が必要となります。

例えば、太陽電池装置を製造するための製品を電力を使用して加工し、海外から輸送したりする際にもCO2を排出し、メンテナンスや使用後の解体・廃棄にもエネルギーを使うため、CO2を排出します。

また、アメリカでは生産されるトウモロコシの40%がバイオエタノールになりますが、生産段階で大量の水資源を中心としたエネルギー投入量が多すぎると指摘されています。

資源リスク

カーボンニュートラルを目指すために、レアメタル等の希少材料を利用した製品が増加することによって、希少資源の供給リスクが生じる恐れがあるといわれています。

終わりに|カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって発生する温室効果ガスの排出量と吸収量がプラスマイナスゼロという状態のことです。

パリ協定で定められた「産業革命以前のレベルと比較して、世界の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑える」という目標の努力目標である1.5℃に抑えるためには2050年にカーボンニュートラルを達成しなければなりません。

大変な課題ですが、人類の存続がかかったチャレンジとして、このカーボンニュートラル達成を目指す機運が後退しないことを祈ります。

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