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SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状(世界と日本)

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状(世界と日本)

SDGsで掲げられている17の目標(Goal)の5番目「ジェンダー平等を実現しよう(“GENDER EQUALITY”)」について説明します。

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の概要

Achieve gender equality and empower all women and girls
(ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う)

という宣言文になっています。

ジェンダーとは、生物学的な性別だけではなく、医学・心理学の分野における「性の自己認識(性同一性)」や、社会科学分野において形成された性(男らしさ・女らしさ)などを含めた広義の意味を持つ「性」を意味しています。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」においては、女性と女児に対するあらゆる形態の差別を終わらせることを目標としています。改善傾向にはあるものの、全面的なジェンダーの平等には依然として届いていないというのが現状です。

国際非政府組織オックスファムが2020年1月に発表した報告書によると、世界の女性による毎日の労働のうち、無報酬、あるいは正当に評価されない労働の総時間は推計で125億時間となっているとのことです。

SDGs目標5概要_2021【出典】国際連合広報センター

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット

「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」には9つのターゲットがあります。「6-1」のように数字で示される達成目標が7個、「6-a」のようにアルファベットで示される実現のための方法が3個で構成されています。

経済的資源に対する同等の権利、能力強化促進のためのICT活用強化、法規の導入といったジェンダー平等を実現するための様々なターゲットが定められています。

また、「無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する」といった、日本でもテレビドラマで取り上げられて話題になった、家事労働の評価を明確にするといったものもあります。

一方では、強制結婚や女性器切除などの有害な慣行の撤廃といった、前近代的な問題に対するターゲットもあります。

目標5_ターゲット5.1 5.1 あらゆる場所におけるすべての⼥性及び⼥児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
目標5_ターゲット5.2 5.2 ⼈⾝売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての⼥性及び⼥児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴⼒を排除する。
目標5_ターゲット5.3 5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び⼥性器切除など、あらゆる有害な慣⾏を撤廃する。
目標5_ターゲット5.4 5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
目標5_ターゲット5.5 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な⼥性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
目標5_ターゲット5.6 5.6 国際⼈⼝・開発会議(ICPD)の⾏動計画及び北京⾏動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果⽂書に従い、性と⽣殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
目標5_ターゲット5.a 5.a ⼥性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び⼟地その他の財産、⾦融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改⾰に着⼿する。
目標5_ターゲット5.b 5.b ⼥性の能⼒強化促進のため、ICT をはじめとする実現技術の活⽤を強化する。
目標5_ターゲット5.c 5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての⼥性及び⼥⼦のあらゆるレベルでの能⼒強化のための適正な政策及び拘束⼒のある法規を導⼊・強化する。

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の日本の達成度スコア

SDSNとベルテルスマン財団が発表しているレポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」によると、2024年度における日本の総合スコアは79.9で世界18位でした。

▶︎SDGs達成度ランキング2024|2023年に21位だった日本は順位を3つ上げて18位に

SDGs目標5の評価に関しては、

  • 現状(CURRENT ASSESSMENT):主要な課題が残っている
  • 傾向(TRENDS):停滞している

となっており、前年からの変化はありませんでした。
SDGs目標17達成度スコア_2024
SDGs目標17.達成度_評価と傾向_2024【出典】SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2024

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の日本の現状

世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書2024」によると、日本は146ヵ国中118位でした。過去最低の順位だった2023年(146カ国中125位)からランクアップしました。

順位 国名 指数
1 アイスランド 0.935
2 フィンランド 0.875
3 ノルウェー 0.875
4 ニュージーランド 0.835
5 スウェーデン 0.816
6 ニカラグア 0.811
7 ドイツ 0.810
8 ナミビア 0.805
9 アイルランド 0.802
10 スペイン 0.797
118 日本 0.663

「Health(健康)」と「Education(教育)」分野では、比較的高い評点を得ている一方で、「Politics(政治)」と「Economy(経済)」分野ではかなり低い評点となっています。

「政治」分野では、国会議員の女性割合が9.9%に留まっていることが指摘されています。「経済」分野に関しては、管理職の割合の低さと、パートタイムの職の割合の多さ、女性の平均所得の低さが課題となっています。

世界ジェンダー・ギャップ報告書2024 日本

国際労働機関(ILO)の2018年調査によると、世界の女性管理職比率は27%に対して日本は12%となっています。G7各国は20~30%であるなか半分以下となっています。

そのような状況に対し、内閣府は「第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月 閣議決定)」において、2025年度までに係長職以上の女性管理職比率を30%、課長職以上で18%という目標を掲げていますが、2021年に実施された厚生労働省の「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、部長・課長・係長など階級別での女性管理職の割合が発表されており、部長相当職では7.8%、課長相当職では10.7%、係長相当職では18.8%にとどまっています。

ジェンダー不平等(男女格差)問題とは?原因・日本の現状

SDGsのその他の目標をみる

SDGs17の目標一覧
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

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