
SDGsで掲げられている17の目標(Goal)の15番目「陸の豊かさも守ろう(“LIFE ON LAND”)」について説明します。
目次
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」の概要
Protect, restore and promote sustainable use of terrestrial ecosystems, sustainably manage forests, combat desertification, and halt and reverse land degradation and halt biodiversity loss
(陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する)
という宣言文になっています。
2015年に世界の樹木総数を推計したところ3兆本で、人間が農業を始めた頃と比べると46%減少したといわれています。現在も毎年150億本以上の木が伐採され続けています。WWF(世界自然保護基金)によると、世界では毎分サッカー場48面分の森林が失われ続けています。
森林の減少によって固定されていた二酸化炭素は大気中に放出されます。WRI(世界資源研究所)によれば、世界の森林は伐採などによって2001~2019年の間に年間平均81億トンの二酸化炭素を大気中に放出したとのことです。
森林の減少は生物の多様性の減少にもつながっており、IUCN(国際自然保護連合)は、評価済みの約142,577種の生物のうち40,000種(約28%)以上に絶滅の危惧があると報告しています。
【出典】国際連合広報センター
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」のターゲット
「目標15.陸の豊かさも守ろう」には12個のターゲット(個別目標)があります。「15-1」のように数字で示される達成目標が9個、「15-a」のようにアルファベットで示される実現のための方法が3個で構成されています。
森林減少の阻止と植林による回復、そして森林経営や生態系サービスの持続可能な利用を目指すことがターゲットとして掲げられています。また、熱帯雨林を国土として保有している開発途上国に対して、森林保護のインセンティブが働くような資源を動員することも挙げられています。
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15.1 | 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、⼭地及び乾燥地をはじめとする陸域⽣態系と内陸淡⽔⽣態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利⽤を確保する。 |
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15.2 | 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻⽌し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を⼤幅に増加させる。 |
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15.3 | 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、⼲ばつ及び洪⽔の影響を受けた⼟地などの劣化した⼟地と⼟壌を回復し、⼟地劣化に荷担しない世界の達成に尽⼒する。 |
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15.4 | 2030年までに持続可能な開発に不可⽋な便益をもたらす⼭地⽣態系の能⼒を強化するため、⽣物多様性を含む⼭地⽣態系の保全を確実に⾏う。 |
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15.5 | ⾃然⽣息地の劣化を抑制し、⽣物多様性の損失を阻⽌し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防⽌するための緊急かつ意味のある対策を講じる。 |
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15.6 | 国際合意に基づき、遺伝資源の利⽤から⽣ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。 |
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15.7 | 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野⽣⽣物製品の需要と供給の両⾯に対処する。 |
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15.8 | 2020年までに、外来種の侵⼊を防⽌するとともに、これらの種による陸域・海洋⽣態系への影響を⼤幅に減少させるための対策を導⼊し、さらに優先種の駆除または根絶を⾏う。 |
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15.9 | 2020年までに、⽣態系と⽣物多様性の価値を、国や地⽅の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。 |
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15.a | ⽣物多様性と⽣態系の保全と持続的な利⽤のために、あらゆる資⾦源からの資⾦の動員及び⼤幅な増額を⾏う。 |
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15.b | 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資⾦の調達と開発途上国への⼗分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。 |
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15.c | 持続的な⽣計機会を追求するために地域コミュニティの能⼒向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努⼒に対する世界的な⽀援を強化する。 |
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」の日本の達成度スコア
SDSNとベルテルスマン財団が発表しているレポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」によると、2024年度における日本の総合スコアは79.9で世界18位でした。
▶︎SDGs達成度ランキング2024|2023年に21位だった日本は順位を3つ上げて18位に
SDGs目標15の評価に関しては、
- 現状(CURRENT ASSESSMENT):主要な課題が残っている
- 傾向(TRENDS):停滞している
となっており、前年からの変化はありませんでした。
【出典】SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2024
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」の日本の現状
生物多様性に関する動向
2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定されました。生物多様性分野において新たに目指すべき目標として、生物多様性の損失を止め反転させる「2030年ネイチャーポジティブ」を掲げ、その実現のためのロードマップとして策定されています。
本戦略では、「2030年ネイチャーポジティブ」を達成するために、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30 目標」を含め、自然資本を守り活用するための行動を全ての国民と実行していくための戦略と行動計画を示しています。
持続可能な森林管理のための認証(FSC)
持続可能な森林管理を推進するための国際的な非営利組織である「FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)」が、森林管理や木材・紙製品が持続可能な方法で生産・供給されていることを認証する制度を提供しており、日本でも紙製品や建材、家具などでFSC認証を取得した製品が増えています。
日本国内における2024年3月時点のFSC認証の状況は以下のとおりです。
・森林管理認証(FM認証)
認証件数:34件
認証面積:約42万ヘクタール
・加工・流通過程の管理認証(CoC認証)
認証件数:2,196件
SDGsのその他の目標をみる
SDGs17の目標一覧
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう