ソーシャルグッドCatalyst

社会課題の解決を目指すウェブマガジン

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の現状(世界と日本)

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の現状(世界と日本)

SDGsで掲げられている17の目標(Goal)の7番目「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(“AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY”)」について説明します。

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の概要

Ensure access to affordable, reliable, sustainable and modern energy for all
(全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する)

という宣言文になっています。

2019年には7億5,900万人が電力を利用できていない状況にあり、そのうちの4人に3人がサハラ砂漠以南のアフリカに暮らしています。

また、世界人口の3分の1が危険で非効率な調理システムを使用しています。人類の40%が使う調理燃料は、薪・炭・動物の糞・作物残渣・石炭となっており、煙と煤によって年間430万人の早期死亡の原因につながっていると言われています。

調理現場にいるのは女性とその傍らの子供が多く、有害粒子状物質を吸い込んで健康被害を引き起こします。家庭の空気汚染は死亡や障害の環境要因の上位を占めています。調理器具をクリーンなものに改善することは、ジェンダー不平等や健康問題、温室効果ガスの排出による気候変動問題の改善につながります。

SDGs目標7概要_2021【出典】国際連合広報センター

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲット

「目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」には5つのターゲットがあります。「7-1」のように数字で示される達成目標が3個、「7-a」のようにアルファベットで示される実現のための方法が2個で構成されています。

2030年までに、現代的なエネルギーサービスへのアクセスを確保することや、再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させること、エネルギー効率の改善を倍増させることなどがターゲットに掲げられています。

目標7_ターゲット7.1 7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
目標7_ターゲット7.2 7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再⽣可能エネルギーの割合を⼤幅に拡⼤させる。
目標7_ターゲット7.3 7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
目標7_ターゲット7.a 7.a 2030年までに、再⽣可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化⽯燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協⼒を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
目標7_ターゲット7.b 7.b 2030年までに、各々の⽀援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び⼩島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての⼈々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡⼤と技術向上を⾏う。

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の日本の達成度スコア

SDSNとベルテルスマン財団が発表しているレポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」によると、2024年度における日本の総合スコアは79.9で世界18位でした。

▶︎SDGs達成度ランキング2024|2023年に21位だった日本は順位を3つ上げて18位に

SDGs目標7の評価に関しては、

  • 現状(CURRENT ASSESSMENT):重要な課題が残っている
  • 傾向(TRENDS):緩やかに改善している

となっています。前年から変化はありませんでした。

SDGs目標17達成度スコア_2024
SDGs目標17.達成度_評価と傾向_2024
【出典】SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2024

SDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の日本の現状

日本の自然エネルギー電力普及状況

特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の速報「2023年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)」によると、2023年 (暦年)の日本国内の全発電電力量(自家消費含む)に占める自然エネルギーの割合は25.7%(速報値)となり、前年の22.7%から大幅(3ポイント)に上昇したと推計されています。

欧州では、2023年には自然エネルギーの年間発電電力量の割合が50%を超える国が多くあり、EU27か国全体の平均でも44.3%に達している状況と比較すると日本の事前エネルギー普及率は相対的に低いと言えるでしょう。

AIの普及拡大に伴って電力需要が増加

IEA(国際エネルギー機関)が2024年1月に発表したレポートによると、世界の多くのデータセンターで生成AI等の影響で電力需要が伸びています。2022年には消費電力量が世界全体で約460TWh(テラワット時)だったのに対し、2026年にはその倍以上の約1,000TWhに達する可能性があるとしています。

日本のデータセンター全消費電力は今後拡大傾向にあり、背景にはDX化などITシステムの継続的投資とその基盤となるクラウドサービスの利用拡大が影響する。それに伴い、2030年度の消費電力は2022年度比で2倍以上、2050年度の消費電力は2022年度比の5倍以上に拡大する見通しとなっています。
国内データセンター年間消費電力推移グラフ【出典】国内データセンター市場におけるAI需要/地方分散/再エネ電源

電力消費をおさえたAIの開発や、データセンターの電力消費を抑えるような取り組みも行われていますが、AIが社会に普及していくに伴って必要な電力も増加していくことが予想されています。2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減という目標達成のために、バイオ燃料などのクリーンなエネルギーの普及促進が期待されています。

バイオ燃料とは?問題点や対策について

GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた動き

日本では、ロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中で、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、2023年に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定しました。

10年間で150兆円規模の官民投資を行い、脱炭素技術の導入やエネルギー転換を進めることを発表しています。 その中身として、以下のような方向性を示しています。

  • 再生可能エネルギーの導入拡大
    風力・太陽光発電の普及促進、地熱やバイオマスの活用
  • 次世代エネルギーの活用
    水素・アンモニアのエネルギー利用、カーボンリサイクル技術の導入
  • 原子力発電の活用
    安全性を確保しつつ、再稼働を進める、次世代型原子炉の開発・導入

GXとは|SDGsとの関連性やGX2040ビジョン(案)についても説明

SDGsのその他の目標をみる

SDGs17の目標一覧
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

Return Top