SDGsで掲げられている17の目標(Goal)の10番目「人や国の不平等をなくそう(“REDUCED INEQUALITIES”)」について説明します。
目次
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の概要
Reduce inequality within and among countries
(各国内及び各国間の不平等を是正する)
という宣言文になっています。
国際非政府組織オックスファムが2020年1月に発表した報告書によると、世界の富豪上位2153人が2019年に独占した資産は、最貧困層46億人が持つ資産を上回ったとのことでした。
世界人口に占める難民の割合は2010年以来、倍増しており、2020年は10万人につき311人が難民という状況に陥っています。
【出典】国際連合広報センター
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」のターゲット
「目標10.人や国の不平等をなくそう」には10個のターゲット(個別目標)があります。「10-1」のように数字で示される達成目標が7個、「10-a」のようにアルファベットで示される実現のための方法が3個で構成されています。
10.1 | 2030 年までに、各国の所得下位40%の所得成⻑率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。 | |
10.2 | 2030年までに、年齢、性別、障害、⼈種、⺠族、出⾃、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての⼈々の能⼒強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 | |
10.3 | 差別的な法律、政策及び慣⾏の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、⾏動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。 | |
10.4 | 税制、賃⾦、社会保障政策をはじめとする政策を導⼊し、平等の拡⼤を漸進的に達成する。 | |
10.5 | 世界⾦融市場と⾦融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。 | |
10.6 | 地球規模の国際経済・⾦融制度の意思決定における開発途上国の参加や発⾔⼒を拡⼤させることにより、より効果的で信⽤⼒があり、説明責任のある正当な制度を実現する。 | |
10.7 | 計画に基づき良く管理された移⺠政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。 | |
10.a | 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。 | |
10.b | 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、⼩島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も⼤きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資⾦の流⼊を促進する。 | |
10.c | 2030年までに、移住労働者による送⾦コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送⾦経路を撤廃する。 |
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の日本の達成度スコア
SDSNとベルテルスマン財団が発表しているレポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」によると、2021年度における日本の総合スコアは79.8で世界18位でした。
▶︎SDGs達成度ランキング2021|日本は世界18位にワンランクダウン
SDGs目標10の評価に関しては、
- 現状(CURRENT ASSESSMENT):重要な課題が残っている
- 傾向(TRENDS):データなし
となっています。
【出典】SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2021
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の日本の現状
OECDの統計によると、男女間の賃金格差が24.5%となっています。欧米諸国が10%台なのと比較すると突出しています。(フルタイム労働者の中位所得における男女間賃金格差、2017年)。2005年の32.8%と比較すると緩やかに減少傾向にありますが、それでも依然として大きな格差があります。
また、正規と非正規雇用の間の賃金格差も大きく、ワーキングプアと呼ばれる、長時間労働をしているにも関わらず、低所得から抜け出せない人達が多く存在していることが社会問題となっています。
SDGsのその他の目標をみる
SDGs17の目標一覧
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう