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社会課題解決特化型CVCを新設 出資希望企業の募集を開始 〜 サニーサイドアップグループ

社会課題解決特化型CVCを新設 出資希望企業の募集を開始 〜 サニーサイドアップグループ

2021年6月に、企業・団体の枠組みを横断し、パブリック・リレーションズの力で社会課題解決を推進する「ソーシャルグッド推進室」を新設した、PRコミュニケーショングループの株式会社サニーサイドアップグループ(本社:東京都渋谷区 / 代表取締役:次原悦子)が、8月30日に、社会課題解決特化型コーポレート・ベンチャーキャピタル 「ソーシャルグッド・ベンチャーズ」を新設し、9月から出資希望企業の募集を開始すると発表しました。

今回は、サニーサイドアップグループのソーシャルグッド推進室の谷村室長に、同社の「ソーシャルグッド推進室」と、今回発表した「ソーシャルグッド・ベンチャーズ」の詳しい内容についてお伺いしました。

「ソーシャルグッド・ベンチャーズ」の概要

ウェル・ビーイングや環境保全といった領域で ”ソーシャルグッド事業”を共創
中長期的な視点で社会課題や環境課題の解決に寄与し得る、国内外のシードステージ、アーリーステージ及びミドルステージの企業に幅広く投資・支援を行うコーポレート・ベンチャーキャピタルです。
SDGsの達成に向けて、投資・支援先がジェンダー平等などに取り組んでいることを前提としつつ、ウェル・ビーイング、出産・育児支援、未病対策、女性活躍、働き方改革、教育改革、気候変動対策、再生可能エネルギー、サーキュラー・エコノミーと呼ばれる環境調和型ビジネスなどを事業領域とする企業を投資対象としています。
また、資金提供のみならず、同社グループが有するブランディングやコミュニケーション、マーケティングのノウハウ等を提供することで、より大きな社会インパクトの創出に向けた連携・提携も視野に入れています。
(株式会社サニーサイドアップグループのプレスリリースをもとにソーシャルグッドCatalystまとめ)

「ソーシャルグッド推進室」設立の狙い

ソーシャルグッドCatalyst編集部(以下、SGC):サッカーの中田英寿選手が前面に出て展開した「WHITE BAND PROJECT」など、貴社はこれまでもソーシャルアクションを実行されてきましたが、この度、新たに「ソーシャルグッド推進室」という部署を設けた狙いをお聞かせください。

SDGsの達成期限である2030年まで残り10年を切り、昨今では、さまざまな企業・団体が各々の手法で社会課題解決に真摯に取り組んでいらっしゃいます。

「地球・社会環境にポジティブなインパクトを与える事業や資産を有する企業・団体と、社会機運醸成などに長けたPR・コミュニケーションノウハウを有する当社グループが「なにかできること、ひとつ」を持ち寄り共創していくことが、社会変革を加速する鍵となるのではないか」

そうした思いのもと、企業・団体の枠組みを横断し、PRのノウハウや知見を駆使して“社会課題解決策の共創・実現”を目指す「ソーシャルグッド推進室」を新設するに至りました。

ソーシャルグッド推進室の体制・具体的な活動

SGC:ソーシャルグッド推進室の体制(人数・メンバー背景など)について教えてください。

グループの中核を担う、サニーサイドアップグループのメンバーが兼任する形で、5名からスタートしました。グループの各事業会社の営業局メンバーとも協業しながら活動を進めています。

SGC:共創プロジェクトの企画・実施は具体的にどうやって生み出していくのでしょうか?

同推進室は、当社の各グループ会社に集積されるソーシャルグッドに関わる情報・ノウハウ・人材を繋ぐ”ハブ”として機能します。

社内外のプロフェショナルメンバーによるチームを組成し、メディアリレーションやプロモーションのほか、パブリックアフェアーズ(パブリックセクターなどへの働きかけ)、アドボカシー(啓発活動・政策提言)などのコミュニケーション手法を多角的に組み合わせ、様々な企業・団体が参画できる共創型プラットフォームを組成します。

そして、社会課題に取り組む企業・団体との協業を通じて「ソーシャル・プロジェクト(=地球環境や社会に対して良い影響を与えるプロジェクト)」を創出し、社会変革を促していきます。

ソーシャルグッド推進室の活動イメージ図

「ソーシャルグッドベンチャーズ」について

SGC:今回、ソーシャルグッド・ベンチャーズを始める狙いは?CVCが必要と判断した理由をお聞かせください。

社会課題解決に寄与するスタートアップ系企業にPRや広報が必要不可欠だと考えています。

そこに当社グループが有するブランディングやコミュニケーション、マーケティングのノウハウ等を提供することで、より大きな社会インパクトを創出できるのではないかと考え、設立する判断を下しました。

同時に、社会課題解決文脈でのCVCを立ち上げることで、当社グループの社会的価値が向上し、事業規模を中長期的にスケールさせることが出来ると考えています。

SGC:ソーシャルインパクトを創出することが狙いとのことですが、ソーシャルインパクトはどうやって測るのですか?指標や判断基準など具体的なものがあれば教えてください。

対象企業の将来性・事業領域・市場全体の成長性などを総合的に鑑み、出資有無を判断します。

ソーシャルグッドなベンチャー企業に向けたメッセージ

SGC:出資希望への応募を検討するベンチャー企業に向けて、谷村様からお伝えしたいことをお聞かせください。

SDGsもソーシャルグッドな活動も、一社だけの取り組みでは到底成し得ません。「何かできること、ひとつ」を各企業やステークホルダーが持ち寄ることで、次の社会を形作るムーブメントや事業が創出されるのだと思います。

今回の「ソーシャルグッドベンチャーズ」は、いわば各社の「何かできること、ひとつ」を集積するプラットフォームのようなもの。
社会を変革し得る事業を推進する企業様を①資金面での出資、②事業化・事業成長の支援、③PRコミュニケーションサービスの提供を通じた広報・IR支援の3軸から包括的に支援することで、次の時代の「新しい当たり前」を共に創ることが出来たら嬉しいです。

谷村室長
[写真] ソーシャルグッド推進室 室長の谷村さん

おわりに

CSV(共有価値の創造)」の実現が企業の成長には不可欠な要素となってきているなかで、組織の立ち上げ、投資資金の準備と、矢継ぎ早に手を打っている印象を受けました。

欧州に比べて、脱炭素やサーキュラーエコノミーへのビジネスモデルの変革が遅れている印象のある日本ですが、ブランディングやコミュニケーション、マーケティング力を持つ同社のような事業者が、ソーシャルビジネスに取り組むスタートアップと共創に本気で取り組むことの意義は大きいでしょう。

8月に当サイトが実施した、『社会問題・ソーシャルグッドに関する意識・行動調査結果』において提言しましたが、「社会課題解決領域のサービス(例:再生可能エネルギー契約プラン)」は、今は、アーリーアダプター(早期導入者)層が支持する段階であり、市場を急拡大させるためには、アーリーマジョリティ(前期追随者)層が行動に移すことが鍵となっています。

同社にはコミュニケーション力を駆使してアーリーマジョリティを動かす施策を実現させ、日本社会を一気にSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)してくれる原動力となってくれることを期待します。

【参考】株式会社サニーサイドアップグループ ニュースリリース

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