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コーヒーかすを再利用する方法

コーヒーかすを再利用する方法

コーヒーかすとはコーヒーを抽出した後に残った粉末状の残渣のことです。全日本コーヒー協会によると2020年に日本で消費されたコーヒーの量は約43万トンでしたが、コーヒーかすには水分が含まれるため、重量ベースでは約85万トンものコーヒーかすが発生しています。

コーヒーかすを処理するためには焼却エネルギーと埋め立て処分場が必要になります。また、長時間放置すると腐敗が進んで温室効果の高いメタンガスが発生することも問題視されています。

本稿では自然環境に優しいコーヒーかすの再利用方法について紹介します。

コーヒーかすを再利用する方法一覧

園芸用途

コンポスティングコーヒーかすは植物の肥料として利用することができます。

肥料の作り方は簡単です。ダンボールを用意し、底にガムテープを貼って漏れないようにします。そして、新聞紙を2〜3日分敷き詰め、腐葉土を7割程度入れます。次に、乾燥させたコーヒーの粉を加えてよく混ぜ、毎日軽くかき混ぜて空気を取り込みます。発酵が十分進んだら、肥料の完成です。途中でコーヒーの粉を追加することもできます。

肥料の発酵の目安は温度です。発酵が進んでいる場合は、触ってほのかに温かみを感じることができます。

肥料を作る際には、いくつかのポイントがあります。コーヒーの粉は必ず発酵させてから使用しましょう。肥料として使用するためには、そのまま庭に撒いても効果がありません。また、乾燥させたコーヒーの粉を使用することも重要です。発酵中には、ダンボールの上部をカバーして、雨や虫が入らないようにしましょう。ダンボールの下には台を置いて、通気性を確保するようにしましょう。

また、土壌改良にも使用できます。具体的には、コーヒーかすを水に漬けた液体を、水や軽石などと混ぜて土壌改良すると、土壌がふかふかになり、水の保持力が高まります。菜園での利用方法としては、キャベツやトマト、パセリなどに使用することができます。

虫よけ・防虫用途

蟻コーヒーかすは、虫よけ・防虫にも役立ちます。コーヒーに含まれる香り成分には、防虫効果があると言われています。例えば、コーヒーの粉を小皿に広げて火をつけると、その煙が蚊やその他の虫を寄せ付けなくします。ただし、小さな子供やペットに近づけないように注意しましょう。

キャンプなどで、広い面積に対して使う場合は、蚊取り線香の代わりにコーヒーの粉を使うことができます。耐熱皿などにコーヒーの粉を弧を描くように散布し、火をつけて焚きましょう。

また、アリやナメクジなどの植物の害虫対策にもコーヒーの粉は有効です。植物を囲むように、土の上に一握りほどのコーヒーの粉を撒くと、効果的です。ただし、コーヒーの粉には発芽抑制作用があるため、植物の根元に直接撒くのは避けましょう(反対の視点からみると、雑草が気になる場所では雑草対策として撒くことができます)。

消臭・脱臭用途

トイレコーヒーかすは、一般的に活性炭として使われる物質よりもアルカリ性の臭いを吸収する能力が優れています。そのため、トイレに置くとアンモニア臭を減らすことができます。特に水分を含んだ状態でその機能を発揮するため、使用する場合は乾燥させずに濡れた状態で使用し、1~2日で交換してください。

袋に詰めたりペーパーフィルターに入れて靴箱に入れて、靴の臭いを取るのに使用できます。靴箱に入れる場合は、カビの原因にならないように乾燥させてから利用することをお勧めします。

また、電子レンジは料理の匂いがこびりついてしまいがちです。コーヒーかすをレンジで加熱することで、レンジについた匂いを消すことができます。魚焼きグリルも同様に、湿ったコーヒーかすをトレーに広げて3分ほど加熱するとで脱臭効果が期待できます。

そのほかにも、そのまま灰皿に入れて使用したり、ペットのトイレ砂に混ぜたり、三角コーナーに少し入れるなど、あらゆる場面で消臭・脱臭用途で利用できます。

ジャムなどの食品が入っている瓶やタッパーの臭いを消すこともできるので、インテリアとして飾る際にも役立ちます。

美容用途

スクラブ石鹸コーヒーかすはスクラブ効果が期待できます。石鹸代わりに利用することで、皮膚の角質が取り除かれて、お肌のつるつる感を実感できます。ボディケアとしては、オリーブオイルと混ぜてマッサージすることでリラックス効果を得るという方法があります。

ヘアケアにも使えます。頭皮をマッサージする際に使うと、頭皮に詰まった汚れや皮脂が取れて頭皮が清潔になります。この方法はフケや抜け毛の予防にもなり、髪の成長を促進する効果もあります。また、シャンプーの後に髪に練り込むこともできます。そうすると、髪に輝きが戻り、美しい髪になることができます。

ただし、黒髪や濃い茶髪以外の薄い髪色の人は、強くこすり過ぎると、コーヒーの色が髪に移ることがあるため注意が必要です。毛根をきれいにして、髪の再生を促進するために使われます。

染色用途

コーヒー染めコーヒーかすを染料として利用する方法はいくつかあります。一般的な方法は、抽出後のコーヒーかすを水に浸して沸騰させ、染料液を作ることです。染料の色合いを調整するために、染料液の濃度や浸漬時間を調整することができます。

染色する素材によって、コーヒーかすの染色効果は異なります。コットンやリネンなどの天然繊維素材には効果的ですが、合成繊維素材には染色効果が弱いことがあります。また、コーヒーかすの品種や焙煎の具合によっても染色効果が異なるため、染める前に実験的に試すことをおすすめします。

染色する前に、素材を水で湿らせておくことが大切です。染色液を浸漬する前に、染めたい部分を固定しておくことで、色落ちを防止することができます。

染色液を浸漬した後、洗濯機で洗濯する場合は、別々に洗濯することをおすすめします。染色液が他の衣服に付着することで、染めたい色合いが変化してしまう可能性があるためです。

掃除用途

フライパンコーヒーかすは掃除にも使用することができます。キッチン周りの油汚れを落とすために、コーヒーかすと石鹸を混ぜて使うことができます。

ガラス製の食器を洗うときにコーヒーの粉を使うことができます。少量を水で溶かした液体に浸して振り洗いするとガラスがきれいになります。油で汚れた食器などもコーヒーの粉をつけてこすると汚れが落ちやすくなります。

しかし、食器についたコーヒーの色素が残ることがあるため、使用後は十分にすすいでから乾かすようにしましょう。また、金属製の食器はコーヒーの酸性が原因で錆びたり腐食したりする可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

料理用途

スパイスコーヒーかすは料理にも使用できます。肉料理に使う場合はスパイスとして使い、コーヒーの苦味や風味を楽しむことができます。デザートに使う場合は、例えばケーキの材料に加えることができます。

また、パンの生地に混ぜ込んで焼くと、香ばしさが加わり、風味豊かなパンができあがります。

コーヒーかすの乾燥方法

このように便利に伝えるコーヒーかすですが、毎日コーヒーを淹れていると、利用するよりも溜まっていく量が多いため、どこかで保存しなければなりません。しかし、そのまま放置するとカビが生えてしまうため、ひとまず乾燥する必要があります。

ここでは、コーヒーかすの乾燥方法を3つご紹介します。

①自然乾燥
コーヒーかすを薄く広げ、直射日光の当たらない風通しの良い場所に置いておくと、自然に乾燥することができます。

ただし、乾燥には時間がかかります。そこで、「エアコンの室外機の前に置く」という方法があります。コーヒーかすを薄く広げた容器を不要なストッキングで包んで縛り、室外機の前に高さを調整して置きます。室外機から出てくる排気でコーヒーかすの水分を飛ばすことで乾燥時間を早めることができます。

②オーブン乾燥
オーブンを150度に予熱し、コーヒーかすを天板に薄く広げます。その後、オーブンで20分程度加熱すると、乾燥させることができます。ただし、温度や時間を調節しないと焦げてしまうことがあるので注意が必要です。

③電子レンジ乾燥
電子レンジで乾燥させることもできます。コーヒーかすを電子レンジのお皿に薄く広げ、600W程度で2分間加熱すると、乾燥させることができます。ただし、加熱時間を調整しないと焦げてしまうことがあるので注意が必要です。

コーヒーかすの保存方法

コーヒーかすは湿気に弱いので保存方法には注意が必要です。いったん乾燥させた後でも、梅雨の時期などには湿気を吸ってカビが生えてしまうこともあります。

比較的湿度が低い、陽の光が当たる場所や風通しの良い場所に置くか、密閉容器に入れて冷凍庫に保存すれば長期間保存することができます。

おわりに|コーヒーかすを再利用する方法

コーヒーかすは様々な方法で再利用することができますので、ぜひ本項を参考にして、楽しみながら環境に負荷をかけない生活を実践してください。

コーヒーかすを使ってテーブルウェアやブックアイテム、バスグッズなど、様々なモノにアップサイクルする活動をしている『UP COFFEE CHALLENGE』という活動を紹介している記事もぜひご覧ください。

アップサイクルでコーヒーの持続可能性を向上する UP COFFEE CHALLENGE

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