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秋田県仙北市が賞味期限が近い非常食を「メルカリShops」で販売開始

秋田県仙北市が賞味期限が近い非常食を「メルカリShops」で販売開始

秋田県仙北市は、2023年3月29日から仙北市役所の防災備蓄品のうち賞味期限が近くなったものを「メルカリShops」を活用して販売開始しました。

自治体が防災備蓄品を「メルカリShops」上で販売するのは、全国で初の取り組みであり、市民以外の購入者にも食べてもらうことで、備蓄品の廃棄やフードロスを回避しながら新たな備蓄品の購入財源を確保する「官民共同型ローリングストック」の実現を目指すとのことです。

取り組みの背景

日本は地震をはじめとした自然災害が多く発生する国であり、日常的な防災対策が要求されることから、近年、新たな備蓄方法として「ローリングストック」が注目を集めています。

「ローリングストック」とは、非常食を多めに買い置きし、賞味期限の古いものから消費、また消費した分を買い足すことで、常に一定量の非常食を家庭に備蓄する方法です。

一般家庭においては日常的に食料を消費するため「ローリングストック」の実践が容易な一方で、自治体などの公共団体における備蓄品は賞味期限が近付くと、防災啓発の名目で配布するか廃棄する選択肢しかなく、その度に新たな備蓄品を購入する費用が発生するため、廃棄を回避しながら、財源を確保する方法が必要とされてきました。

『官民共同型ローリングストック』とは

『官民共同型ローリングストック』とは、自治体などの組織が抱えている備蓄品をネットショップで販売し、売上金を次の備蓄品の購入資源に充てることで、組織における「ローリングストック」を可能にする新たな備蓄の方法です。

これにより、組織は備蓄品の廃棄削減と新たな備蓄品の財源確保を両立できるだけでなく、消費者にとっても賞味期限が近い商品を通常よりも低価格で購入することができます。なお、『官民共同型ローリングストック』は仙北市と「メルカリShops」が開発し、全国で初めて実施する取り組みです。

仙北市は2013年と2022年に大雨被害を受けており、防災対策に積極的に取り組んでいます。

防災備蓄品のフードロス問題

自治体や企業における防災用保存飲食品の備蓄量は膨大であり、入れ替え時期が近づくと防災訓練に関連付け試食会を催したり、子供食堂に寄付をするなどの策を講じてはいるものの、その際に必要となる「賞味期限」を余して入れ替えることへの理解は、なかなか進んでいません。

しかし、飲食品には賞味期限が存在するため、過ぎたものは産業廃棄物として有料で処分するしかなく、フードロスが発生するほか、自治体や企業によっても負担となっています。

官公庁だけで見ても、全府省庁で備蓄している100万食のうち、年間約20万食が賞味期限切れによる廃棄処分の対象になっています。(出典: 朝日新聞 2021年4月22日)

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