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エシカル就活を入り口に産業界のサステナブル変革に挑む|勝見仁泰氏

エシカル就活を入り口に産業界のサステナブル変革に挑む|勝見仁泰氏

買い物をするときに、生産・流通の背景にまで気を配って、社会問題の解決に貢献できる商品を購入しましょう、という「エシカル消費」(英語: Ethical Consumption)という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

2020年11月。現役の大学生が、「人、地球環境、社会に配慮した企業を選ぶ就職活動」を意味するという『エシカル就活』という新しい言葉を冠した就活支援サービスを立ち上げました。

今回は、『エシカル就活』を運営する株式会社Allesgood(東京都・杉並)CEOの勝見仁泰さんに話を伺いました。

エシカル就活を立ち上げた経緯

1998年生まれの勝見さんは、高校3年の時にバックパッカーとして東南アジアを放浪し、フィリピンで貧困問題に接して途上国の経済成長に興味を持ち、フィリピンでの「折り紙」による持続可能環境教育プロジェクトに従事しました。

その後、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」に採用されて、日本代表として、ドイツ・コスタリカ・アメリカに「途上国の特産品を活用した有機化粧品事業立ち上げ」をテーマに1年間留学し、帰国後はパタゴニア日本支社、ソフトバンクのインターンを経験。実家が八百屋を営んでおり、幼少期から事業家に憧れて起業を志すも、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって事業撤退を余儀なくされ、大学4年の初めに就活をスタートしました。

しかし、「社会課題への取り組み」を軸に企業探しを始めてみると、どの就活サイトでも、業界・年収・福利厚生などの情報が中心で、自分の企業探しの軸に合った会社を探すことの困難さに直面しました。

そして、自身の周りの就活生も同じような課題を感じていることが判明しました。同時に、それまで社会問題解決のために積極的に行動していた学生がリクルートスーツに身を包み、自分の軸を曲げて企業に迎合するなかで徐々にエネルギーを削がれていってしまう現実を目の当たりにして、「日本の就職活動の構造は日本の生産性やGDPを著しく下げる要因に違いない。自分はこの構造を変えたい。」と思い、創業を決意したということです。

エシカル就活のサービス概要

エシカル就活サイト画像「エシカル就活」は、勝見さんが感じたペイン(苦痛)をもとに「自分と同じように、社会課題への取り組みを軸に就職先を探したい学生が、社会課題の解決に本気で取り組む企業を見つけるためのプラットフォームとなっています。

就活生は、「気候変動」「ダイバーシティ&インクルージョン」「地方創生・まちづくり」「教育」「医療・ヘルスケア」などの気になる課題ごとに、取り組んでいる企業を検索できる仕組みとなっています。

また、求人企業の社会課題への取り組みに関するリリースが配信されており、学生はそれらの企業の投稿に対して「いいね」やコメントなどのアクションをすることができます。その反応を見た人事担当者が、気になる学生に対して直接コンタクトを取ることができるダイレクトスカウト機能によって、就職活動をサイト内で完結できる仕組みになっています。

掲載企業について

掲載企業については、社会課題解決やSDGsへの取り組みのPRだけに留まっていて実際の行動が伴っていない、いわゆる「SDGsウォッシュ」な企業が混ざることがないように、掲載基準を設けているとのことです。

米国の非営利組織「B Lab(ビーラボ)」が2012年から運営する認証制度である「B corp」を参考にしながら、人、地球、社会などの領域で独自基準に照らし合わせて、掲載するかどうかを判断しています。

また、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さん、元パタゴニア日本支社長の辻井隆行さん等の外部識者からの助言も参考にしているとのことです。

掲載企業数は自社を含めて15社となっています(2021年8月25日現在)。丸井グループやカヤック、メンバーズなど、社会課題への取り組みでは先進的な企業が登録しています。

2021年5月までに100社以上の登録を目指すとのことです。

求職者について

登録している求職者数は約1500人(2021年8月25日現在)となっています。まだ口コミだけで登録者を募っている状況とのことですが、就職活動においては一般的に売り手市場側と見做されている早慶上智などの優秀な学生が登録者の中心を占めています。

2021年5月までに1万人の登録を目指して、活動を強化していくとのことです。

また、登録者を増やすという活動以外にも、勝見さんが留学時代に海外で築いた人脈や、「トビタテ!留学JAPAN」で選ばれた、国際感覚豊かな仲間による国内外のネットワークを構築しており、世界中のアンダー25の優秀な若者の志向データを蓄積していっており、データをもとにした企業へのアドバイスを行っているとのことですが、今後、データベースを拡充していくとのことです。

これらの情報をもとに、就活生にも可視化された情報を共有することで、企業側目線の強かった就活、すなわち、学生が自分の軸を曲げて企業に迎合する就活の現状を変え、学生が自分がやってきたことを自分の言葉で語る、学生側優位の就活へと変えていきたいとのことです。

一方で、就職市場においてはSDGsや社会課題解決に対する関心の高まりが注目されるようになってきているなかで、社会性一辺倒で、企業側が求める「変革力」や「ビジネスマインド」が弱い就活生も多く、「社会性を求めることは尊重しますが、企業人とアクティビストでは役割が違います」と苦言を呈しています。

そのため、「エシカル就活」では登録している学生に対するビジネスセミナーを実施して、社会性一辺倒ではなない、企業側が求めている力を強化できるような支援も行っているとのことです。

産業界のサステナビリティを高めたい

「まずは“就活”を入り口に世の中を変えていきたい」と勝見さんは語ります。

社会課題に取り組みたい学生を企業に送り込み、中から企業を変えていくという「内圧」と、学生の情報を企業側に伝えていくことで外から企業を変えていくという「外圧」を通して、企業をエシカルに変革していくことを目指しています。

企業と学生をマッチングする「エシカル就活」、世界中のアンダー25の志向データをもとにした企業へのコンサルティング活動、それ以外にも新たな活動を計画中とのことで、「産業界のサステナビリティを高める」という点にフォーカスして事業を展開していくとのことです。

「エシカル就活」に関しては、勝見さんの中ではまだβ版であり、登録企業も学生も情報も少ないと考えているので、これらの数を増やして事業価値を高めていくことを目指すとしながらも、「エシカル就活はツールにすぎない」「大切なのは我々のファンを作ること」と冷静な視点も欠かしません。

「企業の採用担当者に学生の考え方を伝えると、それは知りませんでした!と驚き、我々も一緒に変わりたい!と言って頂いた時に、このサービスの本質的な価値を感じます。」と嬉しそうに語る姿は印象的でした。

インタビューを終えて

「まだまだやりたいことの100のうち1もできていない。スタート地点に立ったに過ぎない状態です。」と熱く語る勝見さん。

Z世代の勝見氏自身が中心となって、同世代の若者を巻き込み、産業界をサステナブルに変えていくことに挑む姿勢は、今後、大きなウネリとなっていきそうな予感を感じさせてくれました。

▶︎エシカル就活のWEBサイト

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