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宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは?問題点・事故・対策・日本のベンチャー企業

宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは?問題点・事故・対策・日本のベンチャー企業

リチャード・ブランソン氏やジェフ・ベゾス氏らが有人飛行による短時間の宇宙旅行に成功。9月18日にはスペースX社が4人の民間人による宇宙飛行のミッションを完遂させるなど、2021年は、宇宙がより多くの人々に開かれる「第2の宇宙時代」幕開けの年と呼ぶべき年となっています。

そのような華々しいニュースの一方で、宇宙のごみが問題となっています。そして、持続可能な宇宙開発に向けて問題解決に挑む取り組みも始まっています。

宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは

各国の宇宙開発が盛んになって、地球軌道上の宇宙空間を漂うゴミの問題が注目を集めるようになりました。このゴミを「宇宙ゴミ」、英語では「スペースデブリ」(space debris)と呼びます。

宇宙ゴミは軌道上にある人工物体です。それらには、使用しなくなった人工衛星や故障した人工衛星、ロケット発射に伴って飛散した部品、爆発・衝突した破片などがあります。

宇宙ゴミの数は、10センチ以上の大きさのものだけで約2万個以上あります。小さい宇宙ゴミの正確な数はわかりませんが、1億個を超えるとみられています。

宇宙ゴミの問題点

宇宙ゴミは人工衛星や宇宙飛行士などに深刻なダメージを与えるおそれがあります。宇宙ゴミは秒速7~8キロで地球軌道上を飛んでいます。そのため、人工衛星などに衝突すると金属に穴を開けてしまうくらいの破壊力があります。

また、宇宙ゴミが人工衛星に衝突した場合、市民生活にも影響がでる可能性もあります。仮に、気象衛星ひまわりに宇宙ゴミが衝突して衛星が使用不能になれば、気象観測に影響がでると考えられます。他の観測衛星でも同様です。

宇宙ゴミの問題は以前から議論されていましたが、2009年にアメリカの通信衛星にロシアの使用済み衛星が衝突して大破した事故がきっかけで一気に議論が加速することとなりました。

宇宙ゴミの事故

この事故をきっかけに宇宙ゴミが注目された理由は、この事故によって宇宙ゴミが一気に増えたことによります。

宇宙ゴミによって事故が発生し、事故によって更に増えた宇宙ゴミが次の事故の原因になるという負のサイクルに入ってしまっています。

宇宙ゴミによる主な事故は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のウェブサイトに以下のように記載されています。

<主な宇宙ゴミの衝突事故>

  • 1996年 フランス軍事観測衛星CERISEにアリアンロケット破片が衝突、ブーム損傷。
  • 2009年 米国の通信衛星イリジウムに使用済みロシア衛星が衝突、大破。
  • 2013年 エクアドル小型衛星NEE-01 Pegasoに旧ソ連ロケット破片衝突。高速回転し衛星通信途絶。

<微小宇宙ゴミの衝突が疑われる事故>

  • 12006年 ロシア通信衛星Express-AM11故障。冷却液が噴出、衛星の姿勢が失われ機能不全に。
  • 12007年 欧州気象衛星Meteosat-8不具合。軌道が突然変化し東西方向の位置制御スラスタ破損。
  • 12013年 ロシア小型技術実証衛星BLITS故障。突然スピンレートおよび高度が変化。

宇宙ゴミへの対策

このように、人工衛星などに大きな被害を与える宇宙ゴミですが、対策も行われています。

推進機構を設けている人工衛星や宇宙ステーションは、地上から追跡している宇宙ゴミの衝突が予想されると、軌道を変えて衝突をさけるように運用しているのです。

宇宙ステーションは1cmの宇宙ゴミが衝突しても耐えられるようにバンパーと呼ばれる機構を備えています。また、人工衛星も重要な部分にデブリ防護シールドなどを設置するなどの対策をしているのです。

一方、GPS衛星の軌道では、それほど宇宙ゴミは問題になっていません。GPS衛星は複数の衛星を組み合わせて運用しています。そのため、そのうち1基が使用不能になっても直ちにGPSに影響をおよぼすことはないと考えられているのです。

宇宙ゴミが漂っている宇宙空間はどこの国も主権がおよばないところです。しかし、各国が宇宙空間を利用するようになったので、国連は常任委員会として「宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)」を設置しました。

国を超えた宇宙協力の象徴的な存在が、国際宇宙ステーション(ISS)です。このISSや各国の宇宙での活動を妨げる宇宙ゴミの問題は、COPUOSにおいても最大の関心事になっています。

COPUOSにおいて、2003年から宇宙ゴミの発生抑制を目的とした「スペースデブリ低減ガイドライン」が審議され、2007年に採択されました。また、科学技術小委員会で2010年に「宇宙活動の長期的持続可能性」作業部会が設けられ、さらなる検討が進められています。

翌2011年には、さらに4つの専門家会合が設けられました。「地上における持続可能な開発のための持続可能な宇宙利用」「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」「宇宙天気」「宇宙運用」「宇宙状況監視」「規制体系」「新規参入者に対するガイドライン」の7つの分野にわたり、幅広い内容が審議されています。

現在、各国で宇宙ゴミの回収・除去方法の計画も考えられています。しかし、もっとも重要なことは、これ以上宇宙ゴミを増やさないことです。国連の動きとは別に、EUが主導して宇宙空間における責任ある行動のための国際的な規範を作る動きも進められてきました。

国際規範では、「宇宙物体の破壊の自制」「衛星衝突回避のための通報・協議メカニズム」が定められています。また、各国の宇宙空間での透明性向上や信頼醸成のための規定もあります。そして、日本もこのような方針を支持しています。

宇宙ゴミへの日本政府の対応

日本はアジアで唯一のISS計画参加国です。2008年には、日本実験棟「きぼう」が土井宇宙飛行士の搭乗するスペースシャトル「エンデバー」によって、宇宙に運ばれました。「きぼう」は土井宇宙飛行士以降も若田宇宙飛行士、星出宇宙飛行士が組み立てに携わりました。「きぼう」は2009年に完成し、その後も日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在しています。

日本政府では、宇宙開発戦略推進事務局が「スペースデブリに関する関係府省等タスクフォース」を設置しています。そのなかで、スペースデブリに関する今後の取組についての基本的な考え方は以下の通りとなっています。

  • 現状を悪化させないよう、可能なことから早急に取り組む。
  • その際、リスクが高まる混雑化軌道において、影響が大きなデブリ向けの対策に留意して対応する。
  • 国際的なリーダーシップの発揮に努め、諸外国と連携して推進する。
  • 我が国宇宙産業の競争力に留意して、産学官の共通認識・相互協力のもとで推進する。
  • 国内外でデブリ対策に取り組んできた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の知見・ノウハウを有効に活用する。

宇宙ゴミ問題に挑む日本のベンチャー企業

アストロスケール

アストロスケール▼運営サイト: Astroscale
持続可能な宇宙環境の開発を目指し、低軌道から静止軌道までの全軌道を対象に、宇宙ゴミや、寿命を迎えた人工衛星の除去などの軌道上サービスを行う世界初の民間企業です。

2013年にシンガポールで会社を設立し、2015年に資金調達を行ったのちに日本(東京都墨田区)に株式会社アストロスケールを設立しました。2017年には英国にアストロスケールUKも設立した他、米国やイスラエルにも進出するなど、グローバルに展開しています。

2021年8月25日には、デブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」の実証において、模擬デブリの捕獲を成功させました。

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