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傘シェアリングサービス「アイカサ」|プラスチックビニール傘の廃棄問題に挑む

傘シェアリングサービス「アイカサ」|プラスチックビニール傘の廃棄問題に挑む

世界的にみてもプラスチックの消費量が多い日本人ですが、プラスチックビニール傘の廃棄問題も社会問題の一つと言えるでしょう。

日本洋傘振興協議会によれば、日本で年間に消費される傘の本数は1億2000万~3000万本となっており、約6割にあたる約8000万本がビニール傘となっています。

安価で気軽に購入できる分、紛失や破損につながりやすく、大雨や台風の後には街中に持ち主を失ったビニール傘が溢れます。分解がしにくいため、リサイクルが難しく、そうした傘の多くが埋め立て処理や焼却処分されています。

ここでは、そうしたプラスチックビニール傘の廃棄をなくすことに取り組んでいるビジネスを紹介します。

傘シェアリングサービス「アイカサ」とは

株式会社Nature Innovation Group(本社: 東京都)が運営する、日本初の傘のシェアリングサービスです。

突発的な雨の時にアイカサを借りて、雨が止んだら最寄りの傘スポットに傘を返却できる「雨の日のプラットフォーム」としてのインフラを構築することで、使い捨てビニール傘ゼロを実現する社会づくりを目指しています。

現在は、東京駅や新宿駅をはじめとした都内全域を中心に傘スポット数は約850箇所​。累計登録ユーザー数は合計15万人を超えています。
アイカサ登録状況

同社では、傘自体の品質にもこだわっており、提供する傘は国内のメーカーが手掛けた壊れにくい傘を採用しています。当初は処分されるビニール傘の再利用も検討しましたが、耐久性や見た目、再生できる本数に限りがあることなどがその理由です。

22歳以下の若者無料使い放題プラン開始

2021年6月、株式会社丸井グループ(本社: 東京都)と協業して日本全国の22歳以下の若者向けにアイカサ無料サービス「U22応援プラン」を開始すると発表しました。

22歳以下の若者世代は金銭的余裕がないことが多く、それによって雨に濡れてしまったり、ビニール傘を買うことは、環境・健康・経済の面で問題がありました。

丸井グループの協力によって、この課題を解決するための「U22応援プラン」が実現。同時に全国の大学とも連携して、大学構内にアイカサ設置を拡大します。

これによって若い世代の「アイカサ」利用のハードルを下げ、使い捨て傘と金銭負担0により共に“傘をシェアする時代”を創り、傘を使い捨てない日本の新しい文化づくりを目指すことを目的としています。

「U22応援プラン」の概要

U22応援プランの概要は以下のようになっています。

  • 16歳から18歳まではアプリ登録だけで使い放題
  • 18歳~22歳までの全員が(学生社会人問わず)1年間無料でアイカサを使い放題
  • 2本まで同時レンタル可能

U22planアイカサでは、今回の企画に賛同してアイカサスポットの設置を希望する全国の大学・大学ゼミを募集しているとのことです。

その他のビニール傘の廃棄問題に挑む注目ビジネス

ダイドードリンコも無償で傘を貸し出すサービスを展開

飲料メーカーのダイドードリンコでは、自販機で傘を無償で貸し出す「レンタルアンブレラ」の取り組みを2015年より展開しています。貸し出し用の傘の一部は、駅や電車での「忘れもの傘」を活用しています。

急な雨などの際に自販機の側面に設置された傘を地域社会の皆様に傘を自由に利用してもらい、後日、返却してもらうサービスとなっています。

同社のWEBサイト掲載情報によると、北海道から九州までの計18都道府県で最大540BOXを展開予定とのことです。

ダイドードリンコHP資料
【出典】ダイドードリンコ「レンタルアンブレラ」

PLASTICITY

PLASTICITY▼サイト: PLASTICITY

リサイクルが難しいビニール傘の素材を使って、アップサイクルしたトートバックなどの製品を製造販売するブランドです。

製造工程にも可能な限り環境負荷のかからない方法を模索し、傘の素材が持つ防水性や汚れに強いなどの良い特性を残して、特殊な技術により幾重にも重なる層に圧着をするという方法にたどりつきました。

ブランド名は、PLASTICの問題を抱える​CITY にフォーカスを当てていることを示しており、環境問題が近い将来に解決されるという思いを込めて「10年後になくなるべきブランド」を宣言しています。

終わりに|プラスチックビニール傘の廃棄問題

使い捨てのビニール傘がたまってしまったり、交通機関や商業施設などに置き忘れてしまった経験を持つ人は多いのではないでしょうか?

わざと忘れる人はいませんし、好き好んで廃棄するわけではありませんが、便利で気軽だからといって安易にビニール傘を使って、プラスチック廃棄物の増加に加担しないように、日頃から傘との付き合い方を考えておきましょう。

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