
Spiber株式会社は、完全循環型の繊維製品の実現、循環型社会の推進を目指すことを目的に「バイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンス」を発案・設立し、ケリングやゴールドウインといったアライアンス創設メンバーの協力のもと、取り組みを主導しています。
そしてこの度、英国のファッションブランド「ステラ・マッカートニー」、イタリアの糸・生地サプライヤー「マルゾット・ウール・マニュファクチャリング」、 オランダのファッションイノベーションのプラットフォーム「Fashion for Good」などを含めた企業・団体16社が、新たなメンバーとして参画したことを発表しました。
アライアンスは、ファッションブランドやメーカー、イノベーターなどが連帯し、繊維産業、または農業や林業などから出るバイオベースの廃棄物を、メタボリックリサイクルやその他のプロセスを通じて、新たなタンパク質素材など価値ある材料に再生すること、そしてそのシステム構築を目指しています。
目次
今回の発表における各者コメント
Spiber株式会社 サステナビリティ担当執行役員兼アライアンス主幹チーム・ディレクター|東 憲児コメント
「一つのビジョンから始まったプロジェクトが、今では循環型の未来を創造するという共通の目標のもと、社会レベルでの真の変革に向けて多種多様な組織が一致団結してダイナミックで具体的な行動をとる段階へと成長しています。その姿に深く感動するとともに、未来への大きな希望を抱いています。」
Stella McCartney|ブランドコメント
「 Stella McCartneyは 、バイオサーキュラー・ マテリアルズ ・ アライアンスとパートナーシップを組み、循環型の未来に向けて業界を牽引できることを誇りに思います。アライアンスの最初のプログレス・レポートで報告された成果は、再生可能なバイオエコノミーの創出における大きな進展を、そして社会レベルの変革を達成し得るコラボレーションとイノベーションの力を示しています。私たちは今後も、この画期的なイニシアチブへの協力を楽しみにしています。」
初のプログレス・レポートを発表
アライアンスは、2024年に達成された主なマイルストーンや、バイオベースの廃棄物を新たな再生材料へ変換し業界を循環型バイオエコノミーへと導くためのアクションプランについて報告する、初のプログレス・レポートも発表しました。アクションプランは、知見や実行可能なデータの共有など、業界各社の様々な協力のもと策定されています。
プログレス・レポートでは、マテリアルズ・バイオサーキュラリティ・データベースの初版の作成と、製品設計ガイドラインの開発におけるアライアンスの進捗状況についても報告しています。
データベースは、業界関係者が製品に使用する繊維、染料、化学薬品について、バイオサーキュラー・リサイクル・システム(素材を栄養素に分解し微生物発酵によって新たな材料に再生するシステム)に適合するものを的確に選択するための情報を提供する新しいツールです。まだ初期段階ではあるものの、初期のデータセットはすでにまとめられており、より持続可能な製品設計へと導くための重要な情報源へと発展していく予定です。
製品設計ガイドラインは、さまざまな素材や化学物質の組み合わせが、最終製品のバイオサーキュラーリサイクルシステムへの適合性にどのような影響を与えるかを明らかにするツールとなることを見据えています。データベースの発展に伴い得られる知見は反映させ、2026年には最初のガイドライン草案を完成させる計画です。
Fashion for Good Innovation Manager|Maria Arroyo I Bacete氏コメント
「Fashion for Goodは、Spiberや、バイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンスの創設メンバーかつFashion for GoodのパートナーでもあるKeringのような、他のアライアンスメンバーと協力できることを嬉しく思います。繊維製品の大量廃棄の課題を解決するためには、現在リサイクルルートがない様々な廃棄物を原料として再利用できるような解決策を見つけることが不可欠です。私たちは、バイオサーキュラリティを実現するためにより良いデザインを選択するよう業界を導くことができる、マテリアルズ・サーキュラリティ・データベースといったトピックに対し、私たちの専門的な知見を提供できることを楽しみにして います。」
メタボリック・リサイクルについて
メタボリック・リサイクルとは、バイオベースの廃棄物を糖やアミノ酸などの栄養素に変換し、微生物発酵によって新たな材料を作り出すシステムのこと。
このプロセスは、バイオベース廃棄物の可能性を引き出し、循環型バイオエコノミーのためのスケーラブルで実用的なソリューションとなり、得られる性能を損なうことなく低品質の廃棄物をリサイクルに利用できるようにすることで、繊維から繊維へのリサイクルに画期的なアプローチを提供します。
BioCircular Materials Alliance (バイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンス)
2024年に正式に発足したバイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンスは、生物学の力を活用し、私たちの社会をより循環型にシフトしていくことを目的に設立されました。
繊維産業、または農業や林業から排出されるバイオベースの廃棄物を、糖やアミノ酸などの栄養素に変換して微生物発酵によって新たな材料を作り出すインフラ構築を目指した長期的なビジョンのもと、業界の各企業や団体等との連携を進めています。
プログレス・レポートと同時に、アライアンスは公式ウェブサイトを立ち上げました。同ウェブサイトは、アライアンスの活動に関する最新情報の中枢として機能し、プログレス・レポート、マテリアルズ・バイオサーキュラリティ・データベース、製品設計ガイドラインなどのリソースへのアクセスや、メンバーシップへの参画に関する情報を提供します。
バイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンスは、引き続きブランド、メーカーなど業界各社や各団体、そして政策立案者などの皆様に参画を呼びかけながら、イノベーションを柱にしたコラボレーションを推進し、テキスタイルにおける再生可能な未来への道を切り開いてまいります。
【アライアンスWebsite】 https://biocircularmaterials.org(英語のみ)
<アライアンスメンバー(アルファベット順)>
1.Albini Group
2.Archroma
3.Armedangels
4.DyStar
5.EILEEN FISHER
6.Fashion for Good
7.株式会社ゴールドウイン
8.Gruppo Florence
9.Kering
10.Marzotto Wool Manufacturing Srl
11.Marimekko
12.Pangaia
13.RDD Textiles
14.Stella McCartney
15.Spiber株式会社
16.株式会社ユナイテッドアローズ
17.Vollebak
*2025年1月22日現在のアライアンスメンバーは22社。
*上記の一覧には現時点で非公開を希望する企業・団体は含まれておりません。
Spiber Inc.
2007年設立の、山形県鶴岡市に本社を置くバイオベンチャー。持続可能なウェルビーイング、そして環境課題解決への貢献に向け、革新的なソリューションの創造に取り組んでいます。
当社が開発する「Brewed Protein(TM)」素材プラットフォームは精密発酵技術を活用し、用途に合わせて素材の特性を分子レベルで設計することができ、アパレル、食品、自動車産業など、さまざまな分野において持続可能で高性能な素材ソリューションの実現が期待されています。
私たちは希望ある未来への道を拓くため、Brewed Protein(TM)素材の多様な用途の可能性を常に探求し、循環型社会へ貢献しながら環境への影響を最小限に抑え、インクルーシブで公正な、そして再生可能な世界を築くため弛まぬ努力を続けています。
おわりに
ファストファッションの拡大によって、衣服が使い捨てのように大量消費され、廃棄されるという時代が続いてきましたが、現在ではヨーロッパの世界的ハイブランドが先頭に立ち、持続可能性を高めるための取り組みに力を入れています。
日本企業が世界的なハイブランドを巻き込んでいるバイオサーキュラー・マテリアルズ・アライアンスは刮目に値する取り組みといえるでしょう。