株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、三井不動産レジデンシャル株式会社、株式会社三井住友銀行、株式会社吉川油脂、株式会社野村事務所およびENEOS株式会社の7社が、1月15日から千葉県内のスーパーマーケットやコンビニエンスストアの店舗、さらに大規模分譲マンション(居住区)を拠点として、家庭系廃食用油の回収とSAF導入推進に向けたサプライチェーン構築事業を共同で実施すると発表しました。
事業の背景
本事業は、千葉県総合企画部が公募した「千葉の地域資源を生かしたSAF導入促進事業」に対し、7社による連携スキームの提案が採択されたもので、そのうち、コンビニエンスストア、居住区における家庭系廃食用油のSAF向けサプライチェーン構築に向けた自治体との実証事業は本邦初の取組みとなります。
廃食用油は、バイオ燃料(SAFやバイオディーゼル)などの原料として活用できる貴重な資源ですが、現在日本国内では年間約10万トンの家庭系廃食用油が発生しており、そのほとんどが再利用されずに可燃ごみとして廃棄されています。
本事業では、資源循環(いま捨てられている資源(家庭系廃食用油)を少しでも活用する)、地域貢献(成田国際空港をアジアのハブ空港として国際社会にアピールする)、将来世代(将来世代に住みやすい地球を残すために、各社の知見を集結し、チャレンジすること)を理念として掲げています。
具体的には、千葉県内のセブン‐イレブン、イトーヨーカドー、ヨークマート店舗および三井不動産レジデンシャルが分譲した大規模マンションで家庭系廃食用油を回収します。まずはバイオディーゼル燃料製造などへの活用をすすめ、将来的には、この集めた廃食用油を原料としてENEOSがSAFを製造し、成田国際空港に供給するまでのサプライチェーン構築を目指す実証事業となっています。
事業の概要
事業内容
・千葉県内で、現在捨てられている家庭系廃食用油を店舗及び大規模分譲マンションで回収する
・上記、家庭系廃食用油を運搬し、SAF製造業者に引き渡す
・千葉県における家庭系廃食用油の循環資源モデル構築及びSAFの導入推進による成田国際空港の競争力強化を通じた地域貢献に向けた広報及び普及啓発活動
各社の役割
・セブン‐イレブン・ジャパン: 店舗での家庭からの廃食用油回収
・イトーヨーカ堂: 店舗での家庭からの廃食用油回収
・三井不動産レジデンシャル: 「幕張ベイパーク」内大規模分譲マンションでの居住者からの廃食用油回収
・三井住友銀行: プロジェクトコーディネート
・吉川油脂: 廃食用油回収、運搬、リサイクル、ENEOSへの引渡し
・野村事務所: 廃食用油の回収取り纏め
・ENEOS: 回収された廃食用油からSAFを製造(2027年以降)、回収された廃食用油の海外への販売・海外からのSAF輸入
廃食用油の排出量と再利用の現状
2019年の全国における廃食用油の排出量は、約50万トンと言われています。そのうち、40万トンが事業系、10万トンが家庭系という内訳になっています。
この内、食品工場等から排出される産業系廃食用油は9割以上が専門の事業者によって回収されており、主に家畜の配合飼料原料となっているほか、石けんや塗料、バイオディーゼル燃料等の原料として再利用されています。また、最近では、持続可能な航空燃料であるSAFの原料として注目されています。
その一方で、一般家庭の家庭用廃食用油は、一部の自治体等において回収・再利用が行われていますが、全国的には回収が進んでいない状況であるため、多くは燃えるゴミと一緒に焼却されたり、台所に流され、河川や海域の水質汚濁の原因の一つにもなっています。