ゲーミフィケーション(gamification)とは、「ゲームとは別の物事に対してゲームの要素や原則を応用すること」を意味しています。
最近では、社会課題を解決するためにゲーミフィケーションを活用したビジネスが増えてきていますので、ここではゲーミフィケーションについて簡単に説明するとともに、ゲーミフィケーションで社会課題に挑む注目のソーシャルビジネスを紹介します。
目次
ゲーミフィケーションとは?
ゲーミフィケーションという言葉は、2008年にコンピュータ・ソフトウェアの文脈で初めて登場しましたが、2011年にアメリカのガートナー社が「テクノロジーハイプサイクル」で取り上げたことがきっかけとなって、広く知られるようになりました。
消費者の購買意欲を促すなどのマーケティング手段としても使われたり、経営目標の達成やスキルアップにゲームの要素を取り入れることでモチベーションアップにつなげる手段として使われたりするなど、企業を中心に積極的に用いられるようになりました。
ゲーミフィケーションの定義
定義に関しては様々な議論がありますが、『ゲーミフィケーション』の著者である井上明人は以下のように整理しています。
- 最広義: 社会的な活動にとってゲームが役に立つこと。
- 狭義: コンピュータ・ゲームのなかで特徴的に培われてきたノウハウを現実の社会活動に応用すること。
- 最狭義: 強化学習プロセスやフロー体験を成立させるための最適なフィードバック設計のノウハウを応用すること。
【出典】wikipediaを基に作成
ゲーミフィケーションで社会課題に挑む注目ソーシャルビジネス
それでは実際にゲーミフィケーションで社会課題の解決を目指しているソーシャルビジネスと、そうしたゲーミフィケーションの普及活動を行っている団体を紹介していきます。
コミュニティコーピング®
▼運営サイト: コミュニティコーピング
一般社団法人コレカラ・サポート(コレサポ)が超高齢社会の『社会的孤立』という課題解決を目的に開発したゲームで、第1回全日本ゲーミフィケーションコンペティション準グランプリを受賞しました。
人と地域資源をつなげることで「社会的孤立」を解消する協力型ゲームで、高齢化に伴って発生する悩みに対して、一人ひとりの本当の悩みを明らかにし、専門家や地域の繋がりを処方してあげることで、チームで力を合わせて地域社会の崩壊を防ぐことを目的としています。
LEGO®SERIOUS PLAY®
▼運営サイト: LEGO®SERIOUS PLAY®
レゴ社の創業者三代目のK.K クリスチャンセン氏が、レゴ®ブロックを活用し、創造的で革新的、かつ環境変化の中で即時性のある方法で企業経営の戦略創りをすることができないかと考えて開発されたプログラム。
2000年代の初めに当時のレゴ社教育部門で研究開発統括をしていたロバート・ラスムセン氏が参画。MITメディアラボのシーモア・パパート教授が提唱する教育理論「コンストラクショニズム」を基にプロトタイプを完成させたのが起源となっています。
メイキット(MAKE IT ! まちなか発想ゲーム)
▼運営サイト: メイキット(MAKE IT ! まちなか発想ゲーム)
第1回全日本ゲーミフィケーションコンペティションでグランプリを受賞した作品です。まちあそびユニットまちラクティブが企画・製作しました。
以下のような目的で利用可能です。
- コミュニティのコミュニケーションに
- 地域資源の発掘
- フィールドワーク教材として
- 地域活性団体のアイスブレイクに
tanQ
▼運営サイト: tanQ
これまでのようなテストの点数のみの評価を改め、特定の分野での受賞歴、社会へ働きかける活動の実践など、多様な能力を評価する時代、つまり、知識だけではなく「思考力」や「創造力」、そして自ら学び、挑戦する「主体性」が求められる時代へと変わってきています。
そのような時代の変化に対し、子どもが心の底から「これ好き!」と思える”運命のテーマ”に出会うことをサポートする手段として、毎月届くボードゲームと動画で遊びながら学べる通信教育を提供しています。
慶應SDM社会&ビジネスゲームラボ
▼運営サイト: 慶應SDM社会&ビジネスゲームラボ
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の研究会。
社会のさまざまな問題をゲーム(ビジネスゲーム、人材育成ゲーム、サプライチェーンマネジメントゲーム、社会ゲーム、経営ゲーム、プロダクトデザインゲーム)を使って考え、課題を解決することを目的として運営されています。
「全日本ゲーミフィケーションコンペティション」を主催しています。
金沢工業大学 SDGs 推進センター
▼運営サイト: 金沢工業大学 SDGs 推進センター
第一回ジャパンSDGsアワード官房長官賞を受賞した金沢工業大学に設けられた組織で、全学体制でSDGsアクションを推進する際の学部学科の横串を通す役割を有すると共に、地域の様々なステークホルダーを結びつけるハブ機能を有する組織です。
自治体や企業などがSDGsに取り組む最初の活動として、オリジナルカードのSDGs ゲーミフィケーション教材を複数開発しています。
一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会
▼運営サイト: 一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会
2019年に設立。AI(人工知能)が普及する世界で、主体的に価値を生み出せる人材の重要が高まっているなか、ゲーミフィケーションデザインを学ぶカリキュラムを策定し、ゲーミフィケーションを活用できる人材の育成とゲーミフィケーションの研究、普及を目指す協会です。