地球温暖化についての話をしていると耳にすることも多い「パリ協定」。重要なことなのは何となく分かるけど、そもそもパリ協定とはどのようなものか、今さら聞けないといった人もいるのではないでしょうか。
そのような人のために、パリ協定についての基本的なことや、COP、京都議定書といった関連する事柄についても分かりやすく説明します。
パリ協定(Paris Agreement)とは?
2015年12月12日にパリで開催されたCOP21で196のUNFCCCの締約国(全196ヵ国)によって採択され、2016年11月4日に発効された、気候変動に関する国際条約です。
パリ協定では、「産業革命以前のレベルと比較して、世界の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えることを目指す」ことが合意されました。
そして、各国が温室効果ガスの削減目標を「国が決定する貢献(Nationally determined contribution; 通称 NDC)」として提出することになりました。
なお、目標の達成自体は義務とはされていません。
日本の削減目標
日本は、2020年3月30日に地球温暖化対策推進本部においてNDCを決定しました。そこで示された日本の温室効果ガス削減目標は「2030年度に2013年度比で26%削減する」というものでした。
その後、2020年10月26日には、菅総理大臣が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。
さらに、2021年4月22-23日に開催された、米国主導で40の国・地域の首脳らが参加した「気候変動サミット」で、菅総理大臣が「2030年度において2013年度比で46%の削減を目指す」と宣言しました。
パリ協定とCOP21との違いは?
UNFCCCは、”United Nations Framework Convention on Climate Change”の略称で、日本語に訳すと「国連気候変動枠組条約」となります。
1992年に国連で採択されたこの条約に基づいて、1995年から毎年行われている、温室効果ガス排出量削減の実現に向けて議論する会議のことをCOPと呼びます。
COPは、”Conference of Parties”の略称で、日本語に訳すと「締約国会議」となります。
従って、COP21は21回目に開催された締結国会議のことを示していて、パリ協定はCOP21で合意された条約のことを示しています。
パリ協定と京都議定書の違いは?
COPの3回目は1997年に日本の京都で開催されて、この時に「京都議定書」が採択されました。条約という見方では京都議定書とパリ協定は同じですが、条約の内容に違いがあります。
京都議定書では、参加している先進国に対して「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」を求めました。国ごとにも温室効果ガス排出量の削減目標を定め、EUは8%、アメリカは7%、日本は6%の削減することが合意されました。
一方、パリ協定では、参加している全ての国が削減目標を作成・提出・維持する義務と、削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務を負うことが合意されました。
すなわち、京都議定書は先進国の削減目標が合意されたのに対し、パリ協定では全ての国の削減目標が合意されました。
終わりに|パリ協定とは?
パリ協定とは、2015年12月にパリで締結された、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な条約で、産業革命以前のレベルと比較して、世界の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えるという目標が合意されました。
IPCCが2018年に発表した報告書によれば、このままでは世界の平均気温は早ければ2030年には1.5℃、2050年には4℃上昇することが見込まれています。
気温の上昇を2℃未満に抑えるためには2075年頃、1.5℃に抑えるためには2050年にカーボンニュートラルを実現しなければならないとのことです。