6月16日、産学官連携による人口減少時代の課題解決と医療福祉×ITを核とした新たな産業基盤の創出を通じた持続可能な地域づくりを目指す「八幡平市メディテックバレーコンソーシアム」の設立総会が開催され、Apple Watchを活用した遠隔診療×遠隔見守りサービスの実装に取り組むことを発表しました。
医療資源へのアクセス確保と独居者の安否見守りという地域課題
岩手県八幡平市は、約862.25 km²という広大な面積に24,548人が暮らす環境にあり、高齢化率がすでに40%を超える中、市内ではすでに診療所の常勤医が確保できない無医地区が発生しており、市立病院の医師が片道1時間半をかけて診療所に赴くことで医療体制を維持しているという状況にあります。
このような状況に対し、人口減少時代の課題解決と医療福祉×ITを核とした新たな産業基盤の創出を通じた持続可能な地域づくりを目的として、八幡平市、アプリケーション開発事業者、データ分析・解析事業者、プログラミング教育事業者、大学等研究機関関係者といった産学官の連合体によって「八幡平市メディテックバレーコンソーシアム」が設立されました。
日本初のApple Watchを活用した遠隔診療×遠隔見守りの実装を目指す
遠隔診療・遠隔見守りサービスの実装には、AP TECH株式会社(本社: 岩手県八幡平市)が開発するITサービス「Hachi(ハチ)」の活用を予定しています。
Hachiは、アプリ設定済のApple Watchを装着するだけで、デバイスで取得された心拍数等の情報を24時間365日クラウドサーバへ送信し、遠く離れたところにあるiPadやiPhoneへほぼリアルタイム(10分/5分/1分のうち任意の頻度)でデータを共有することが出来るアプリケーションです。
緊急時には、Apple Watchの画面を5秒触るだけで発信できるSOS機能や動いていないにもかかわらず高心拍/低心拍が検知された場合の自動アラート機能、自宅等から出入りしたことを知らせる「お出かけ検知」機能を備えており、高齢の独居者の方等の「もしも」に気付くことができます。
また、医師等が持つiPadでは、患者が来院していない間を含めた24時間365日の各種バイタルデータの最新情報及びその推移が表示され、随時閲覧することが可能です。医師等がiPadから1タップでビデオ通話をかけ、患者側のiPhoneにおいて自動で受話する設定を行うことで、最新のバイタル推移を参照しながら画面越しに顔を見て行うオンライン診療を実装することが可能となっています。
ITによる課題解決から「日本のシリコンバレー」へ
「八幡平市メディテックバレーコンソーシアム」は、遠隔診療・遠隔見守りサービスの実装を中心に、担い手となるAI・ICT人材を育成するプログラミング教育事業「スパルタキャンプ」の企画運営、医療福祉・ITに係るセミナー等の実施、その他医療福祉×IT領域を中心とする新たな産業基盤及びサービス創出に係る事業の推進等、様々な事業への展開を想定しているとのことです。