SDGsに対する社会的な関心が高まりつつあり、書籍やテレビなどのメディアでもSDGsに関する情報に触れることが多くなってきました。
一方で、17の目標と169個からなるターゲットを一読するだけでも相当な情報量があり、頭で理解したつもりではいても、他人に説明したり、いざ行動に結びつけようとした途端に、正体があやふやなものに見えてくるのがSDGsの現実ではないでしょうか。
そこで、SDGsを直感的に学び、参加者同士で気づきを共有して理解を深め、腹落ちさせるのに役立つSDGsカードゲームを紹介します。
2030 SDGs
▼サイト: 2030 SDGs
『2030 SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)』は、一般社団法人イマココラボと株式会社プロジェクトデザインが共同で制作したカードゲームです。SDGsのカードゲームといえば、このゲームが最も実績があると言って良いでしょう。
参加人数は5〜50人程度で、カードゲーム(1.5時間)と振り返り(約1時間)で構成されています。企業内で実施する場合は、更に1時間程度必要で合計2.5〜3.5時間の所要時間となります。
カードゲームで楽しみながらSDGsを体験してゲームの世界と現実世界を紐づけた後に、振り返りをすることで腹落ちさせるという流れを狙いとしています。ビジネスの場合は、「現実はそんなに甘くない」「自分の仕事とは関係ない」という人が一定数現れる可能性が高いため、事例を用いてビジネスとしてSDGsを進める必要性や重要性を腹落ちさせることを目的としたセッションが必要となります。
ゲーム内では、環境・経済・社会にフォーカスした目標がチームごとに与えられ、達成するために時間とお金を使って様々なプロジェクトを実施していきます。そうして実施したプロジェクトが、どう社会に影響を与えるのかを体感することができる仕組みになっています。
SDGs de 地方創生
▼サイト: SDGs de 地方創生
『2030 SDGs』の開発元である株式会社プロジェクトデザインと、特定非営利活動法人イシュープラスデザインが共同で開発し、2019年にリリースしました。
SDGsの考え方を地域の活性化に活かし、地方創生を実現する方法について参加者全員で対話し、考えることを目的としたゲームです。
参加者は主に予算を分配する行政と、様々な課題を持っている住民とに分かれて、より良い町にするために、人口・経済・環境・暮らしの問題を解決するためのプロジェクトを行政と住民で取り組むという内容になっています。
このゲームを通して、住んでいる地方の課題や地方創生に取り組む上での困難などを体感的に理解することができます。
『2030 SDGs』が「世界」「抽象的」「本質理解」を特徴としているのに対して、『SDGs de 地方創生』は「国内」「具体的」「問題理解」を特徴としている点に違いがあります。
『2030 SDGs』のゲーム内で用いるカードに表現されている内容は世界を題材にしており、抽象度が高めに作成されています。それに対して、『SDGs de 地方創生』では、日本国内で地方創生に取り組む自治体の具体的なアクションがカードの題材とされています。
また、『2030 SDGs』がSDGsの本質を理解するのに役立つのに対し、『SDGs de 地方創生』は、地方創生がうまくいっている自治体とそうではない自治体の間にはどのような違いがあるかを考え、地方創生を実践する上でのハードルや問題と原因は何か理解することが中心となります。
上記のような違いがある一方で、「行動変容」を目指すという点が両者に共通する特徴となっています。
『SDGs de 地方創生』も、『2030 SDGs』同様、行政や教育機関、企業などで幅広く活用されています。
SDGsアウトサイドイン
▼サイト: SDGsアウトサイドイン
『SDGsアウトサイドイン』は、「企業」に焦点をあて、企業が直面している課題をSDGsの視点を活用しながらどう解決していくか、また、世界が直面している課題に企業がどのように寄与できるかを学ぶことができるカードゲームとして開発されました。
本ゲームを体験することで、期待される3つの成果は以下のようになります。
- すべての事業者に訪れる新しい事業機会(アウトサイドイン)に関して学ぶ
- 世界が直面している課題に、企業(自社)がどのように貢献できるのか知る
- 自社が保有しているピースを知り、統合して新たな事業を生み出すきっかけを掴む
「アウトサイドイン(Outside-in)とは、SDGs導入における企業の行動指針「SDG Compass」の中に記載されているビジネス用語です。 アウトとは「社会」を、インは企業や組織を意味します。
現代のビジネスでは、顧客のニーズに合わせて製品やサービスを開発する「マーケットイン(Market-In)」という考え方が主流ですが、「アウトサイドイン」は、顧客のさらに先の社会のニーズに応えようという考え方になります。すなわち、「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」を意味しています。
『SDGsアウトサイドイン』も『2030 SDGs』と同様、ゲーム終了後の振り返り時に、プレイして得た「気づき」を言語化して共有することで、学びを深めていきます。
終わりに|SDGsを楽しみながら学べるゲーム一覧
SDGsのロゴは課題が一目で分かりやすいデザインで表現されており、カラフルで人の興味を引きつけます。それによって、多岐にわたり、複雑で近寄り難い情報に対する抵抗感を減らすことに大いに役立っています。
それと同様に、今回紹介したカードゲームは、楽しみながら問題の本質を理解することに役立つ素晴らしい取り組みです。
SDGsに限らず、社会課題を学び、解決策を考えるために「ゲーミフィケーション」と呼ばれる手法に取り組んでいる事例も数多くありますので、こちらの記事も参考にしてください。