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JTBとAirbnb、空き家を活用し地域共生社会の実現に向けた受入環境整備を推進

JTBとAirbnb、空き家を活用し地域共生社会の実現に向けた受入環境整備を推進

世界最大級の宿泊予約プラットフォームであるAirbnb(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ、以下:Airbnb、日本語名:エアビーアンドビー)ならびにその日本法人であるAirbnb Japanが、株式会社JTB(本社:東京都品川区、代表取締役 社長執行役員:山北 栄二郎、以下:JTB) と連携し、空き家を活用した地方地域の受入環境整備を全国規模で強化推進することを発表しました。

取り組みの背景

近年、多くの地方自治体では、世界に誇る魅力的な観光資源がありながら、周辺地域の宿泊環境が不足することで、積極的な観光振興が行えないといった課題が起きています。同時に、全国で800万戸を超えると言われている「空き家」の利活用も深刻な問題です。季節やイベントの需要が集中する時期に宿泊施設が不足し、地域全体の観光需要を満たせない状況も見られます。

これまでAirbnb Japanでは、新潟県佐渡市、北海道釧路市、そして長野県飯田市などの各地方自治体と連携協定を結び、単に宿泊プラットフォームに参加する宿泊施設(リスティング)を増やすにとどまらない、地方を活性化するためのまちづくり、コミュニティの生成、地方自治体のサポートを受けながらホームシェアリングをはじめる人々を支援する取り組みを行ってきました。

Airbnbの宿泊施設(リスティング)に宿泊する旅行の特徴の一つに、宿泊施設の貸主(ホスト)が、宿泊者(ゲスト)に地域の商店や飲食店、地元ならではの見どころなどを紹介し、ゲストがリスティングの周辺での経済活動を行うことで、周辺観光が活性化されることがあります。暮らすような旅を体験し、その地域の魅力を、地域のコミュニティとの交流により新たな形で実感することで、非都市部での中長期の滞在や、移住促進につながるほか、観光の分散の促進、地域での関係人口や、経済的機会の創出に役立つと考えられます。

実際、2024年9月時点で、Airbnbのプラットフォームを通して1,270の市町村にある宿泊施設にゲストが宿泊しており、さまざまな地方自治体から、観光の分散化や、交流型観光による持続可能な地域振興ソリューションとしてAirbnbプラットフォームの活用が注目されています。

AirbnbとJTBは2018年に締結された新たな旅行体験市場の開拓を見据えた包括的業務提携を起点として、「災害時における新BCP実行支援サービス」や、「訪日外国人旅行者の利便性向上に向けた「まちなか」におけるICTを活用した手ぶら観光サービスの実証事業」の実証実験など、コロナ禍での企業支援や、地方創生に関連する協業、ならびに旅行体験市場の開拓に関する協業などを行ってきました。

この度の地域創生に向けた取り組み事業との連携によって、両社での活動をさらに強化し、喫緊の課題となっている地方地域における宿泊施設の「受け入れ環境整備」を早急に推進するため、以下の活動を通じて、地域事業者とのエンゲージメントを強化し、持続的な交流創造事業を推進します。

主な活動内容

•地域事業者との共創事業の提案・実施
両社がこれまで培ってきた地域交流のスキル・ノウハウを活かし、地域資源を活用した体験型観光プログラムの開発や、観光資源の再評価を通じて、新しい観光モデルの構築を支援します。

•地域の未来を共に考えるワークショップの開催
全国の複数地域を対象に、地域住民や関係者を対象とした年間計10回程度のワークショップを実施し、地域ごとの課題に応じた解決策を共創します。

•「ホームシェアリングはじめ方スクール」の実施
ホームシェアリングを広く普及するため、宿泊施設を提供する側であるホストになるための具体的な事例(例:空き家を宿泊施設に転用したモデルケース等)を共有し、地域事業者が自らのビジネスをスタートできる環境を整えます。

今後の展開について

上記の活動を中心とした地域共生社会の実現に向け、2028年までに「新たな受け入れ環境整備」を展開する地域を100地域を目標とし活動してまいります。

さらに、空き家問題や宿泊環境体制整備にとどまらず、JTB、Airbnbそれぞれが主体となり各地域創生のプロジェクトにも挑戦していきます。特に東日本地域を注力地域として定め、地域の方々と共に創る持続可能なインフラ整備に取り組むことで、「地域へのホームシェアリングムーブメント」を起こし、新たな雇用創出・移住定住を拡大するだけでなく、地域全体の活性化に貢献することを目指していきます。

Airbnb (エアビーアンドビー)について

Airbnbは、2人のホストがサンフランシスコの自宅に3人のゲストを迎えた2007年に誕生しました。
それ以来、ホスト数は500万人を超え、世界のほぼすべての国と地域で、20億回以上ゲストをお迎えしてきました。
訪れるゲストが街や人とのつながりを肌で感じながら世界を旅できるよう、ホストはユニークな宿泊先やほかではできない体験を日々提供しています。
※「Airbnb」「エアビーアンドビー」「エアビー」の各名称およびロゴはAirbnb Inc.の登録商標です。

おわりに|空き家問題について

2015年に発表された総務省統計局の「平成25年住宅・土地統計調査」では、2013年の全国の空き家数は約820万戸(全住戸の7分の1)でした。そこから売却用や賃貸用などで不動産会社が管理しているものを差し引いた「所有者による定期的な利用がされていない状態の空き家」が2013年時点で318万戸となっています。

問題とされるのはこうした放置状態の空き家が増えていることです。空き家数の約4割を占めており、かつその割合は増加傾向にあります。

今後は、第一次ベビーブーム(1947年から1949年)のときに生まれた、人口の多い「団塊世代(2020年時点で70〜73歳)」が亡くなる際に、その子供の団塊ジュニア世代が親の住宅に住まず、売るに売れない状態になると著しく増える懸念があります。

このままいくと15年後には倍以上となる2,000万戸にまで拡大することが予想されています。

空き家問題に挑む注目ビジネスまとめ

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