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日本が抱える社会問題一覧

自殺

人口動態統計(厚労省)の死亡者総数に対する死亡原因別の順位(占有率)で「自殺」は9位(1.5%)となっています。1位は癌(27.9%)、2位心疾患(15.3%)、3位脳血管疾患(8.2%)となっています。

世界との比較では、WHOの2016年度の統計によると、日本人の自殺者数の順位(人口10万人あたり)は14位(18.5人)、性別に見ると、男性17位(26.0人)、女性8位(11.4人)となっています。

2012年以降は経済が回復したこともあって自殺者数は減っていますが、G8国のなかでは韓国と並んで自殺率が高い国となっています。

2018年度における全年齢層の自殺の原因・動機は以下のようになっています。

  • 健康(49.2%)
  • 経済・生活(16.2%)
  • 家族(14.9%)
  • 勤務(9.5%)
  • 男女(5.1%)

1位は心身の健康問題で、具体的にはうつ病などの精神疾患などが原因になっています。2位は生活苦、借金などの経済・生活問題です。生活保護を受けている人の自殺率は一般の人の2倍となっており、特に20代では6倍となっています(2012年)。
家族内の不和なども原因として多く、3位となっています。

社会保障費の増大

社会保障費の増大は日本が抱える最大の社会課題の1つです。

2019年度の政府予算(一般会計歳出)101.5兆円の中で、借金の返済に充てている国債費23.5兆円、地方に回している地方交付税交付金16.0兆円を除いた正味の政府予算(一般歳出)は62.0兆円となります。そのなかで、社会保障の予算は34.1兆円となっており、62.0兆円の55%と半分以上を占めています。

税金に社会保険料を加えた「社会保障給付費」は2016年度で116.9兆円となっており、2060年頃に向けて増加を続けていきます。

社会保障費の推移グラフ

2025年には、1947~49年に生まれたいわゆる「団塊の世代」全員が75歳以上に達し、年金や医療費・介護費などの社会保障費が一気に増大する「2025年問題」が指摘されています。

少子化

少子化(しょうしか)とは一般的に「出生数が減少すること」を意味します。

人口学においては、「”合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子の数)”が”人口置換水準(長期的に人口が安定的に維持するための合計特殊出生率。国連は先進諸国の人口置換水準を2.1と推計)”を相当長期間下回っている状況」のことを指します。

2018年の日本の出生率は1.42となっています。出生率が比較的高い先進国は、フランス1.92、スウェーデン1.85、アメリカ1.82といった状況です。一方で低い国は、ドイツ1.59、イタリア1.34、スペイン1.32といった状況になっています。

総務省の発表によれば、2019年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)は前年に比べ18万人少ない1533万人で、1982年から38年連続の減少となりました。 総人口に占めるこどもの割合は45年連続の低下で、1950年には3人に1人が子供だったものが8人に1人の割合となっています。
人口割合の推移グラフ

消滅可能性都市

「消滅可能性都市」とは、2014年に増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる日本創成会議の発表した、「少子化や人口移動に歯止めがかからず、消滅する可能性がある896自治体」を指します。

なかでも人口が1万人を割る523市区町村は「消滅可能性が高い自治体」と位置づけられました。

青森、岩手、秋田、山形、島根の5県では8割以上の市町村に消滅可能性があると指摘されましたが、そうした地方だけにとどまらず、東京都豊島区、埼玉県三郷市、千葉市花見川区、大阪市中央区、札幌市南区、広島市安佐北区などの大都市の人口集中地域も含まれています。

シングルマザー(母子家庭)の貧困問題

離婚や死別、未婚などによって、母親だけで子どもを育てている家庭のことを母子家庭といい、母子家庭の母親をシングルマザーといいます。

厚生労働省によると、全国の母子家庭は123.2万世帯、父子家庭は18.7万世帯となっており、母子家庭の割合がかなり多くなっています。

ひとり親世帯の平均年間収入は父子家庭の場合は420万円、母子家庭は243万円となっており、母子家庭の方が半分近く少なくなっています。

ひとり親の就業状況はシングルファーザーの場合は85.4%が正規の職員や従業員であるのに対して、シングルマザーの場合は44.2%しか正規の職員として働いていません。同じくらいの43.8%がパートやアルバイトで生計を立てています。

シングルマザーの貧困問題|支援制度やソーシャルビジネスも紹介

生物多様性の喪失

国際自然保護連合(IUCN)の公表によれば、世界では40,000種以上の生物に絶滅の危惧があります。これは全評価種の27%以上に相当します。

日本列島は世界的に見ても生物多様性の豊かな国ですが、人口密度が高く経済活動も活発なため、数の減少や絶滅が懸念されている種が多数あります。環境省が「日本の絶滅のおそれのある野生生物」を発行しており、定期的にレッドリストの見直しを実施しています。2012年及び2013年に公表された第4次レッドリストでは10分類群合計で3,597種となっており、増加傾向にあります。

生物多様性とは?年平均33兆ドルとされる生態系サービスの経済的価値

大規模自然災害

自然災害とは、危機的な自然現象によって人命や人間の社会的活動に被害が生じる現象のことを指しています。法令上では「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害」と定義されています。

首都直下型地震や東南海トラフ地震、富士山噴火がいざ起これば、甚大な被害の発生が想定されます。また、気候変動の影響で激甚化している風水害も毎年のように発生しています。政府は国土強靭化対策を進めようとしていますが、財政問題などの限界もあり、万全であるとはいえません。

英国の調査会社EIU社が発表した「安全都市指数(Safe Cities Index)」の2019年版では、3年連続で東京が「世界で最も安全な都市」に輝いています。「サイバーセキュリティ」1位、「医療・健康環境」2位、「インフラの安全性」4位、「個人の安全性」4位で総合スコアが1位となりました。大阪も第3位に入りました。

一方で、世界最大の最保険会社である英ロイズがケンブリッジ大学と共同で行っている都市リスクの指標(紛争や災害の脅威を試算したもの)では、リスクが高い都市として東京が第1位、大阪が第6位となっています。

東京一極集中

政治・経済・文化・人口など、社会における資本・資源・活動が東京に集中していることによって生じる問題のことをいいます。東京一極化による問題点を挙げます。

  • 過密
    …密集した住宅環境、交通渋滞、通勤ラッシュなど。
  • リスクへ脆弱性
    …地震や洪水などの自然災害やテロなどによって首都機能が全滅する可能性。
  • 地方の人材流出
    …企業の本社機能集約の結果、大学卒業生が地方から東京に多量に流出。
  • 資産格差
    …地価高騰によって、東京で土地を持つ人と持たない人との資産格差拡大。
  • 規模の不経済
    …OECDによれば約700万人を越えると大都市圏の規模と所得は負の相関になる。

東京だけに限らず、中京圏・大阪圏などの他都市部への人口集中も進んでいます。日本国内の都市化率は、1950年には30%強に過ぎなかったのが、2050年には90%を大きく上回ると予測されています。

また、日本に限らず世界的に都市部への人口集中が続いており、先進国では約80%に達し、2050 年には90%になると予想されています。

令和2年の国土交通省白書によれば、「洪水・嵐・高潮・地震・津波により影響を受ける可能性がある都市圏」として、災害に対する総合的なリスクは、東京・横浜圏が最も高いと評価されています。

世界と比較した災害に対する総合的なリスク
【出典】国土交通省「令和2年版国土交通白書」

独居老人(高齢者の一人暮らし)の増加

内閣府によると、65歳以上の一人暮らし、独居老人は2015年(平成27年)には男女合計で約600万人に達しました。男女別にみると男性が約200万人、女性が約400万人となっています。この数値は増える傾向にあって、2025年(令和7年)には全体で約750万人に達すると予測されています。

独居老人が増えている理由としては、主に「さまざまな理由で頼れる人がいない」「慣れ親しんだ場所から離れたくないという高齢者が多い」といったものになります。

独居老人とは?人口・増加の原因・問題について

2025年問題

2025年には人口の約3分の1が65歳以上の高齢者で占められるようになります。

その頃、世代別人口の多い「団塊の世代」(1947〜1949年の第一次ベビーブームに生まれた人たち)が75歳以上の「後期高齢者」になります。

現時点でも介護職員の数は不足していますが、2025年には労働力不足が38万人に達すると予想されています。また、医療費や社会保障費の負担増大が深刻化することも予測されています。

こうした、介護に纏わる様々な問題が、2025年頃を境に加速すると予想されていることから、「2025年問題」と呼ばれています。

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