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xSDGコンソーシアム「企業のためのSDG行動リスト」とは何か?

xSDGコンソーシアム「企業のためのSDG行動リスト」とは何か?

慶應義塾大学SFC研究所 xSDG・ラボが設立した「xSDGコンソーシアム」の、金融アセスメントプラットフォーム分科会が発表した「SDG 行動リスト ver.1」(以下、SDG 行動リスト)を紹介します。

企業のためのSDG行動リストとは何か?

SDG行動リストは、企業がSDGsの目標を達成するための行動を促進するための情報として、同時に金融機関が企業の行動をSDGs視点から評価するための判断基準とするための情報として作成されました。

2018年6月に設立されたxSDGコンソーシアムでの議論から、

企業におけるSDGs目標達成のための行動を促進するために、「企業におけるSDGs目標達成のための行動とは何か」を明らかにする必要がある。そして、それは企業の行動を評価する金融機関や投資家の判断基準を提供することにもつながる。

ということが明らかとなったため、xSDGコンソーシアム「金融アセス メントプラットフォーム分科会」において、「SDGs目標達成に貢献する企業行動」と「具体的行動の例」を整理しました。

▶︎「企業のためのSDG行動リスト ver.1」はこちらからダウンロードできます

企業のためのSDG行動リストの内容

SDGsの169個のターゲットから66個を抽出し、抽出したターゲットを2つの視点で整理して74個に分解し、それぞれに対応する「SDGs目標達成に貢献する企業行動」と「具体的行動の例」を示すという形で構成されています。

SDGsのターゲットを整理した2つの視点は以下の通りです。

  • 「労働・人権」「経営管理」「環境マネジメント」 「気候行動」の4つのカテゴリ
  • サプライチェーンの観点:「調達」「物流」「生産」「販売」「共通」の5項目

例をひとつ挙げると、

ターゲット9.4: 2030年までに、インフラを改良し持続可能な産業につくり変える。そために、すべて国々が自国能力に応じた取り組みを行いながら、資源利用効率向上とクリーンで環境に配慮した技術・産業プロセス導入を拡大する。

を「経営管理」と「環境マネジメント」の2つのカテゴリと「共通」「物流」「生産」の3つのサプライチェーンの視点を用いて3項目に分解しています。

そのうちの1つ「経営管理」-「共通」を見ると、

  • SDGs目標達成に貢献する企業行動: 環境や生産効率性を重視した業務方法採用
  • 具体的行動の例: ライフサイクルマネジメント徹底・デカップリング計測による実証

といった形で示されています。

企業のためのSDG行動リストを使用する場合の注意点

「企業のための SDG 行動リスト ver.1」 ご活用ガイド に記載がありますが、リストを実際に活用する場合は、

  • xSDG・ラボに連絡するとともに、xSDG・ラボから「企業のためのSDG行動リスト」の提供を受けた旨の明記をすること
  • 活用後にxSDG・ラボまでフィードバックコメントをすること

とのことですので、使用にあたっては上記の点を守りましょう。

企業のためのSDG行動リスト作成メンバー

xSDG・ラボのメンバー、アドバイザー、オブザーバー(関係省庁)のほか、Vision Sharing PartnerとしてxSDGコンソーシアムに参加した、以下の企業・自治体によって作成されました。

ESRIジャパン株式会社、国際航業株式会社、シティグループ証券株式会社、株式会社TREE、日本航空株式会社、楽天株式会社、株式会社良品計画、静岡市、豊岡市、ANAホールディングス株式会社、株式会社インプレスR&D、株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社大和証券グループ本社、三井住友銀行、天野エンザイム株式会社、株式会社NTTデータ経営研究所、GREATWORKS株式会社、株式会社コバヤシ、住友化学株式会社、日本電気株式会社、株式会社Mizkan Holdings、神奈川県、鎌倉市

まとめ

SDGsの目標やターゲットの項目だけを眺めていても、どのような観点でチェックし、具体的にどのような行動をとれば良いのかがわかりにくいというのは、多くの人が感じることだと思いますので、とても参考になる資料だと思います。

大手企業では、ESG対応などでしっかりした資料を作成していますが、中小事業者では大変です。また、評価する金融機関側も、評価の専門機関ではない上に、中小事業者を取引先としている地銀などでは担当者が非財務情報を評価するのは困難でしょう。

SDGsは自主的な取り組みが前提となっており、報告・評価の仕組みもルールがある訳ではないので、言いっ放しになりやすく、広まるほどに混乱も増してしていくことが予想されます。

多くの事業者がこうしたリストをベースとして使用して標準化が進み、金融機関や投資家も同じ基準で評価するようになり、対話がしやすくなることが期待されます。

【参考】慶應義塾大学SFC研究所 xSDG・ラボ

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