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ごみ拾いSNS「ピリカ」|108カ国で累計1億8千万個を突破

ごみ拾いSNS「ピリカ」|108カ国で累計1億8千万個を突破

個人がいつでもどこでも気軽に参加することができ、ごみ拾いを楽しくしてくれるSNS「ピリカ」をご存知でしょうか?

108カ国で累計1億8千万個のごみが拾われており(2021年5月15日現在)、世界中に広がっているSNSと、このサービスを生み出した社会起業家を紹介します。

ごみ拾いSNS「ピリカ」誕生の背景

ゴミ拾いSNS「ピリカ」は、株式会社ピリカ(本社:東京都渋谷区)が提供しているサービスです。サービス名称であり、社名ともなっている「ピリカ」は、アイヌ語で「美しい」という意味を表しています。

ピリカ誕生までの背景や、同社の事業内容については、代表の小嶌不二夫氏が語っている19分強の動画で詳しく紹介されています。同社について理解できると同時に、環境問題を考える上で洞察に富んだ有益な内容となっていますので、環境問題について関心がある人はぜひ視聴することをお勧めします。

小嶌氏は7歳の時に読んだ本の影響で、科学の力で環境問題の解決を志し、大阪府大で環境工学、京都大学大学院でエネルギー経済を専攻しました。しかし、研究者では問題を解決することまではできないと気づいて悩んだ後、休学してベトナムで会社員として働いたり、世界を見て回り、体感した上で、ごみ問題の解決に取り組むことを決意しました。

帰国後にごみ拾いSNS「ピリカ」の開発を開始し、2011年には大学院を中退して京都から東京に拠点を移し、会社を設立して本格的に事業として取り組むことになりました。

ごみ拾いSNS「ピリカ」について

ごみ問題の世界は、ごみの収集・運搬・処理などのごみ処理産業が、すでに産業として確立されているものの、ポイ捨てなどによって発生するごみの問題に関しては、市民団体やボランティアが個々に頑張っている状態で産業として確立されていないことに注目しました。

小嶌氏は、確立されたごみ処理産業を「メジャーリーグ」、ポイ捨てのごみ拾いの世界を「マイナーリーグ」と呼び、マイナーリーグの1つ1つの問題は小さいものの、地球規模で見たときには大きく解決は必須だと考えました。

ポイ捨てのごみを回収する手段としては、個人のボランティアが動くことがコスト的にも最も効果的だと考え、どうやったらその人達が気持ちよくごみ拾いを続けて行けるかということが大事なテーマだと考えて「ピリカ」を開発しました。

ごみ拾いは、拾ってしまうと形(証拠)が残らないので他の人に行為が伝わりにくい、従って広がりにくい特性を持っていることが課題と捉え、ごみを写真に撮って証拠を残してもらい、褒めてもらったりする仕組みも加えることで広がりやすくなるように工夫をしました。

その結果、108カ国で累計1億8千万個のごみが拾われており(2021年5月15日現在)、世界中に広げることに成功しました。

個人は無料で利用が可能で、美化に力を入れている自治体やPRに活用したい大企業が有料で使う仕組みになっています。

他のサービスについて

株式会社ピリカでは、ごみ拾いSNS「ピリカ」以外にも、街のポイ捨ての状況を調査する「タカノメ」や、マイクロプラスチックの調査サービスである「アルバトロス」といった、独自のサービスやソリューションを開発・提供しています。

ポイ捨て調査の「タカノメ」は、スマホのカメラとAIを使ってポイ捨てごみの分布状況を調査するサービスです。自治体で取り組んでいる美化活動の効果測定や、ポイ捨ての分布状況を可視化することで、予算の最適化を支援することができます。

マイクロプラスチック調査の「アルバトロス」は、ごみの流出を止めるための流出メカニズム(流出品目と流出経路)調査を行っています。従来手法よりも圧倒的に低コストの装置を開発して、河川に流れ込んでいるプラスチック片などの調査を受託したり、装置をレンタルしたりしています。安価でどこでも使える調査手法が着目され、世界10カ国200箇所以上に広がる世界最大級のマイクロプラスチック調査サービスになっています。

また、独自に流出製品の推定にまで踏み込んでおり、実際に海洋に流出しているマイクロプラスチックの原因として、人工芝の破片や肥料のコーティングに使用しているプラスチック成分が多いといった情報を突き止めるなどの成果を挙げています。

ピリカの今後について

上記で紹介した以外のサービスの実証を進めているほか、海外に調査網を広げたり、現在はスマホのカメラで行っている「タカノメ」の調査にドローンを活用するといった技術開発も進めています。

また、独自に環境に関する調査を行っていることから、一般には出回っていない情報(不都合な真実)を発見することにつながっており、そうした情報を基に、自治体や企業と今後のリスク対策を考えたり調査したりするといった共同プロジェクトに発展しています。

同社では、ごみ問題はあくまでも一歩目として、あらゆる環境問題の解決を目指していくとしています。

終わりに

普通の人の視点では「何をするべきなのか?」「それがビジネスになるのか?」といったことが見えないような問題を本質的に深掘りし、サービスとして形にしている点で本当に素晴らしいと思います。

「ピリカ」では、ごみ拾いをする人のやる気を促し、更に広がるような仕組みを実現し、「タカノメ」では、ポイ捨てを見える化することで効果測定ができる仕組みを実現。「アルバトロス」では、装置をどこでも使える+低価格化することで広げる、といったように、「ごみ」というテーマは一貫性を持ちながらも、それぞれ別々の問題に着眼し、それぞれに応じた解決策の開発を実現しています。

問題の本質を追求し、自分で問題を把握するという点で研究者としての資質を持ちつつ、解決策を自分の頭で考えて実行に移す事業家としての資質を併せ持つ小嶌氏と、同氏が率いる株式会社ピリカに今後も期待したいと思います。

ピリカのアプリ画像
【参照】株式会社ピリカ

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